目次
- 車庫証明書とは自動車の保管場所があることを証明する書類です
- 引っ越すことで使用者の本拠が変わるため警察署で住所変更手続きが必要です
- 車庫証明書は地域によって要否や申請時の必要書類が異なります
車庫証明書の住所変更は、自動車を持っている人にとって引越しの際に必要な手続きの一つです。引っ越したら必ず行う義務があり、期限が設けられています。期限内に手続きを行わないと罰金刑に処される可能性もあるため、忘れずに手続きを行いましょう。しかし、そもそも「車庫証明書」がどのような書類を指すのかご存知ない方も多いのではないでしょうか。この記事では、車庫証明書の概要や住所変更の手続き方法、手続きの際の注意点、自動車に関するそのほかの住所変更手続きについて解説します。
引越し時の車庫証明書の住所変更手続き
引越しの際は、役所関係の手続きやライフラインの切り替えなど、さまざまな手続きが必要となります。自動車を所有している方にとっては、車庫証明書の住所変更手続きも大切な手続きの一つです。手続きを怠ると罰金を科される場合もあるため、事前によく確認しておきましょう。ここでは、車庫証明書の意味や交付条件、住所変更の手続き方法、必要書類について解説します。
車庫証明書とは
車庫証明書は「自動車保管場所証明書」の略称で、駐車場、すなわち車の保管場所を有していることを証明する書類です。車を購入した際や、名義変更や引越しなどで車の保管場所が変わる際に必要となります。軽自動車の場合は、地域によって名義変更や住所変更の際に車庫証明書の住所変更手続きも必要な場合があります。手続きの要否は地域によって異なるため、自分の居住地域では必要かどうかを事前に確認しておきましょう。
交付条件
車庫証明書の交付を受けるには、申請する保管場所(車庫)が以下のような条件を満たしている必要があります。
- 駐車場、車庫、空き地など、道路以外の場所であること
- 自動車を使用する本拠地(住所)から、直線距離で2km以内であること
- 道路から支障なく出入りでき、自動車全体が道路へはみ出すことなく置けること
- 保管場所として使用できる権利を持っていること
なお、前述したとおり車庫証明は使用者の住所によって適用除外地域があります。東京都の場合は、小笠原村のような離島などの一部地域が該当します。また、福生市・あきる野市・日の出町などでは、軽自動車のみ適用除外地域に該当します。
申請方法
車庫証明書の住所変更を申請する際は、まず自動車の保管場所を管轄する警察署の交通課窓口やWebサイトにて、申請書類一式を入手します。必要書類をそろえ、必要事項に記入捺印が完了したら同場所にて提出しましょう。ここで注意したいのが、窓口の受付時間が限られている点と、土曜日・日曜日・祝日・年末年始は手続きを受け付けていない点です。予定を立てて、日時を確認してから手続きをしに行きましょう。
手数料は都道府県によって異なりますが、おおよそ2,000~2,200円程度かかります。その後およそ1週間以内に車庫証明書と保管場所標章番号通知書、保管場所標章(ステッカー)が交付され、受取時に500円程度の手数料を支払って手続き完了です。保管場所標章は車庫を利用する車のリアガラスに貼っておきましょう。なお、申請手続きは自動車販売店や専門業者に代行依頼することも可能です。
必要書類
自動車の保管場所が自分の土地か借りているかによって、申請に必要な書類は異なります。
【自分で所有している場合】- 自動車保管場所証明申請書
- 保管場所標章交付申請書
- 保管場所の所在図・配置図
- 保管場所使用権原疎明書面(自認書)
- 自動車の使用者の住所を確認できるもの(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- 自動車保管場所証明申請書
- 保管場所標章交付申請書
- 保管場所の所在図・配置図
- 保管場所使用承諾証明書(記載事項を満たしていれば契約書の写しでも可)
※いずれの場合も、申請時には以下のものを持参しましょう。
- 自動車の使用者の住所を確認できるもの(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- 住民票または印鑑証明書(場合による)
- 所有者および使用者の印鑑
- 車検証
車庫証明書の住所変更手続きの注意点
車庫証明書の住所変更を行う際は、期限や申請方法においていくつかの注意点があります。手続きの期限や窓口の受付時間、車庫証明書の有効期間などを良く確認し、スムーズに手続きを行いましょう。
住所変更を忘れた場合
引越しに伴い自動車を保管する住所に変更があった際は「変更があった時点から15日以内」に新しい保管場所の管轄の警察署にて住所変更手続きをしなければなりません。期限内に住所変更をしなかった場合は罰金10万円以下が科される可能性があるため注意が必要です。ただし、前述したとおり、軽自動車の場合は保管場所の届出が不要の場合もあるため、引っ越す前に確認しておくと良いでしょう。
代理申請する場合
車庫証明書の手続きは平日の警察署窓口が開いている午前8時30分から午後5時15分までしか行えないため、仕事で行けない方もいるでしょう。しかし、手続きは本人ではなく代理人でも可能です。家族や親族が代行する場合は書類に必要事項を記入捺印して提出のみしてもらえば問題ありません。ただし、訂正が必要なときのために、訂正印として書類に用いたものと同じ印鑑を持って行ってもらいましょう。代理人に依頼する際に委任状は必要ありませんが、訂正印のみで書類の誤りを訂正できなかった場合に備えて、委任状を作成するのがおすすめです。
有効期間が切れてしまった場合
車庫証明書には有効期間があり、原則としておおむね1ヶ月以内とされています。車検証の住所変更手続きには車庫証明書が必要なため、まずは車庫証明書の住所変更手続きをし、期限内に車検証の手続きも済ませることが重要です。万が一、有効期間が切れてしまった場合は、車庫証明書を再発行しなければなりません。とはいえ、念のために陸運局に受理してもらえるか掛け合ってみる、警察署にて有効期間の延長や再発行の手続きの簡略化を交渉してみるなどの対策を講じることも可能です。再発行が原則であるものの、有効期間を過ぎてしまった理由や状況に応じて何らかの対応をしてもらえるかもしれません。
引越し後に車の保管場所が変わらない場合
引越し後も同じ月極駐車場を利用し車の保管場所が変わらない場合も、車庫証明書の住所変更手続きが必要です。また、住所変更手続きに伴って車庫証明書を再取得しなければならない点も注意しましょう。さらに、車庫証明書は保管場所から自宅までの直線距離が2km以上離れると取得できないため、その場合は新たに駐車場を借り直さなければなりません。一方、駐車場のみ変更して引越しを伴う住所変更をしていない場合は車庫証明書の住所変更手続きは不要のため、警察署で保管場所変更届出の手続きを行うのみで済みます。
虚偽の申請「車庫飛ばし」
車庫証明の際、虚偽の申請によって車庫証明書を取得して自動車を登録する行為を「車庫飛ばし」と呼びます。車庫飛ばしは、自宅が都市部で駐車場代が高額になるので、駐車場代の安い郊外で車庫証明書を取得すると意図的に行う場合も考えられます。ただし、車庫飛ばしは自動車の保管場所の確保等に関する法律第17条違法にあたる行為です。違反の種類により、3ヶ月以下の懲役または20万円以下の罰金が科される可能性があります。車庫飛ばしは犯罪であるため、決して虚偽の申請を行わないにしましょう。しかし、引越し後に車庫証明書の住所変更をしていない場合も、車庫飛ばしに該当します。そのため引越し後は速やかに手続きを行うようにしましょう。
賃貸物件への引越しでも手続きが必要
賃貸の住み替えで、借りていた駐車場に変更がなくても、住所が変更となった場合は車庫証明書を再取得する必要があります。自動車の保管場所が変わらないのなら、新たに取得する必要はないのでは?と思うかもしれません。しかし、例えば駐車場として利用しているスペースに違う自動車が停車していた際、警察にその旨を通報したとしても、車庫証明書の現住所が異なっているとその場所が自分の駐車場だと見なされません。そのような事態を避けるためにも、車庫の場所が変わらない場合でも、車庫証明書を現住所で登録するようにしましょう。
自動車に関するそのほかの住所変更手続き
引越しの際は、車庫証明書以外にも住所変更が必要な手続きが多々あります。可能な限りスムーズに手続きを行うために、段取りを考えておくと良いでしょう。ここでは、車庫証明書以外の自動車に関する住所変更手続き4つについて解説します。
車検証・ナンバープレート
住所変更があった際は変更があった時点から15日以内に、引越し先の住所を管轄する陸運局で手続きを行わなければなりません。軽自動車の場合は陸運局ではなく、軽自動車検査会にて手続きを行います。管轄の陸運局が変わる場合はナンバープレートの変更も必要です。ナンバープレートの変更が必要な場合は、引越し先を管轄している運輸支局または自動車検査登録事務所に申請しましょう。
住所変更をし忘れると検挙される可能性があることに加え、車検証に記載してある住所に送られる自動車税の通知が引越し先に届かなくなります。そのまま自動車税を支払わなければ懲罰金が科される場合もあり、また車検証に記載されている住所と現住所が異なっていると、事故を起こした際に自賠責保険が下りなかったり、自動車を手放す際に車検証に記載されている住所との繋がりを証明する必要が出てきたりします。あらゆるトラブルを防ぐためにも、車検証の住所は期間内に必ず済ませておきましょう。
車検証の住所変更をする際に必要なものは以下のとおりです。
- 普通自動車
- 車検証
- 申請書
- 手数料納付書(検査登録印紙)
- 住所変更が確認できる書類
- 車庫証明書
- 自動車税申告書
- 所有者および使用者の印鑑(代理人が申請する場合は委任状が必要)
- ナンバープレート(管轄が変更になる場合)
- 軽自動車
- 車検証
- 自動車検査証記入申請書
- 軽自動車税申告書
- 住所変更が確認できる書類
- 所有者および使用者の印鑑(代理人が申請する場合は委任状が必要)
- ナンバープレート(管轄が変更になる場合)
住所変更する際は350円の変更登録手数料が発生します。また、ナンバープレートに変更がある場合は1,500~3,000円程度、希望ナンバーの場合は4,000~6,000円程度、図柄ナンバーの場合は7,000~9,200円程度必要です。
ナンバープレートの手続きについて詳しくはこちらの記事でご紹介します。
運転免許証
運転免許証の住所変更の手続きの期限は特に定められていません。とはいえ、運転免許証の有効期間より6ヶ月以上経過した場合は免許失効となり、場合によっては2万円以下の罰金が科されるため、早急に手続きを済ませることが重要です。手続きの手数料は無料で所要時間も短いため、気軽に手続きができます。ただし、混み具合によっては数時間かかることもあるため、時間に余裕を持って行くのがおすすめです。
運転免許証の住所変更手続きに必要なものは以下のとおりです。
- 運転免許証
- 運転免許証記載事項変更届
- 新住所を確認できる書類(住民票やマイナンバーカードなど)
- 印鑑
- 申請用の写真(地域によって必要な場合)
代理人が申請する場合は上記に加え、基本的に以下のものが必要です。自治体によって異なる場合があるため、事前に確認しましょう。
- 申請者と代理人が併記された住民票(コピー不可)
- 代理人の本人確認書類
運転免許証の住所変更手続きについてはこちらの記事で詳しくご紹介します。
自賠責保険
引越しをした際は加入中の自動車保険でも住所変更の手続きを忘れないようにしましょう。自動車保険には、加入が義務付けられているものと任意で加入するものの2種類あります。ここで解説するのはすべての自動車に加入が義務付けられている「強制保険」の自賠責保険です。自賠責保険は、交通事故が起きた際に加害者の経済的負担を補てんし、対人賠償を確保して被害者を救済することを目的としています。自賠責保険に加入していない自動車は公道を走ることはできず、無保険で走行した場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。また、「自賠責保険証明書」を自動車に備え付けずに運転した場合も30万円以下の罰金が科されるため、運転時は必ず携帯するようにしましょう(自動車損賠賠償保障法第86条の三一号)(道路交通法施行令別表第二の一)。
自賠責保険は加入している保険会社にて住所変更手続きをします。手続きをする際は、多くの場合に以下のものが必要です。
- 自賠責保険証明書
- 所有者および使用者の印鑑
任意の自動車保険
自動車保険は、自賠責保険では補償しきれない部分を補うために加入します。例えば、相手が死傷した場合、自賠責保険では補償できる上限金額がありますが、任意であれば上限がありません(加入プランによって異なります)。また、任意の自動車保険であれば、車・モノなどの対物賠償や相手方との交渉、自分自身や同乗者の死傷、自分の車など、幅広い範囲で補償可能です。補償範囲の広さから、多くの運転者が任意の自動車保険に加入しています。
住所変更の手続き方法は各保険会社によって異なるため、Webサイトや契約書にて確認しましょう。住所変更の手続きを忘れる、自動車保険の継続手続きの通知が届かず継続手続きをしそびれる場合があるため注意が必要です。また、引越し先によっては保険料が変わる可能性もあります。重要な情報を受け取りそびれないためにも住所変更手続きは必ず行いましょう。
自動車以外の住所変更手続き
引越しに伴い、住所変更が必要な手続きは自動車関連の登録だけではありません。引越しの際は荷造り・荷解きの作業などで体力的に疲労し、つい手続きを後回しにしがちでしょう。しかし、うっかり忘れると新生活に支障が出る場合も多いため、あらかじめ必要な手続きを確認して準備をしておきましょう。ここでは引越しの際に見落としがちな、自動車以外の3つの住所変更手続きについて解説します。
マイナンバーカードの住所変更手続き
マイナンバーカードの住所変更手続きは、引越し後に行います。同一市区町村への引越しであれば、本人確認をしてマイナンバーカードに新住所を記載すれば、手続きは完了です。新住所は、マイナンバーカードの裏面の追記欄に記載されます。住所変更手続きをしなくとも罰則等はありませんが、マイナンバーカードを使用した手続きができなくなりますので、早めに住所変更をしておくと良いでしょう。
同一市区町村以外への引越しの場合は、引越し後速やかにマイナンバーカードの住所変更手続きを行う必要があります。手続きには期限があるため、各自治体のルールを確認しましょう。万が一期限が過ぎた場合、マイナンバーカードは失効し、再発行が必要となる場合があります。
クレジットカードの住所変更手続き
日々の買い物や公共料金、携帯料金など、さまざまな支払いにクレジットカードを利用している方も多いでしょう。引越しで住所が変わった場合、クレジットカードも住所変更手続きが必要です。手続きを怠ると、更新時期に重要なお知らせが届かなかったり、最悪の場合は使用不可になったりする可能性もあるため、忘れずに行いましょう。クレジットカードの住所変更手続きは、インターネット上の会員専用Webサイトで行うのが一般的ですが、コールセンターへの電話連絡や、郵送での対応を行っているところもあります。また、クレジットカードを複数枚所持している方は、全ての住所変更手続きを忘れないように注意しましょう。
郵便局の転送サービス
引越しの際は、最寄りの郵便局の窓口に転居届を出しておけば、旧住所宛ての郵便物等を新住所に無料で転送してもらえます。転送期間は届出日より1年間ですが、更新も可能です。窓口に行けない方は、転居届をポスト投函するか、インターネット上の「e転居」サービスで手続きを行いましょう。なお、郵便局の転送サービスを申し込むことで、手紙やはがき、ゆうパックなど日本郵便が取り扱う郵便物・荷物に関しては転送が可能です。しかし、宅配便のようなそのほかの荷物に関しても、配送先を新住所に変更する必要があります。例えば良く通販サイトを利用する場合は、マイページで必ず住所変更を行いましょう。登録住所が切り換わっていないと、旧住所に荷物が届き、転送はされません。
引越し後の手続き一覧はこちらの記事をご覧ください。
まとめ
この記事では、車庫証明書をはじめ引越しで必要な各種住所変更手続きについて解説しました。車庫証明書の住所変更手続きは、たとえ近距離の引越しで同じ駐車場を使用する場合にも必要です。ただし、一部の地域では不要なケースもあるので、事前に新住所が車庫証明の必要な地域かどうか確認しましょう。引越しの際は、車庫証明書以外にも免許証や車検証などの住所変更が必要です。自動車関連の手続き以外にも、マイナンバーカードやクレジットカードの住所変更、郵便物の転送サービスの申込みも欠かせません。引越し前後は何かと慌ただしく時間が過ぎるため、事前に必要な手続きや書類をリストアップし、スムーズに引越しと各種手続きを完了できるよう心がけましょう。