住民税に関する手続きは引越しの際に必要?住民票の住所変更手続きについても解説します

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summary
  • 会社員の場合は住民票の異動をすれば住民税の納付先は自動的に変更されるため手続きの必要はありません
  • 会社員の場合は給料から天引きした住民税を会社が納付します
  • 個人事業主やフリーターは自分で住民税の納付手続きをする必要があります

引越しをすると気になるのが住民税の支払いです。住所が変わって何かしらの手続きが必要だとしても、納付期限に遅れることなく支払いを済ませたいですよね。そこでこの記事では、引越し後の住民税の手続きについて解説します。関連する住民票の住所変更についてもお伝えするので、スムーズな引越しにお役立てください。

※詳細は自治体によって異なるため、必要に応じて事前に各自治体にお問い合わせください。

住民税とは

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住民税とは、私たち住民が納める義務のある税金のことです。各都道府県・市区町村に対して支払われる税金で、主に行政サービスを行ううえでの経費として使われます。各自治体が行う行政サービスの費用を、住民が一部負担する仕組みだと考えると良いでしょう。

とはいえ、住民税は全員が支払う義務があるわけではありません。一定の所得がある人に課される税金のため、前年に一定の収入がなかった場合は支払う必要がありません。以下では住民税を支払う対象の方に向けて、引越し前に知っておきたい住民税の仕組みや納付先について解説します。

住民税の仕組み

住民税というと複雑そうなイメージがありますが、その仕組みは意外と簡単です。住民税は市区町村民税と都道府県民税を合わせたものを指します。税率は基本的に都道府県民税が4%、市区町村民税が6%であることが原則ですが、自治体によって異なる場合もあります。したがって、合計所得から所得控除を引いた額の10%に対して税額控除額等を差し引いた額を住民税として納めます。課税対象となるのは前年の合計所得です。給与所得者の場合、6月から翌年5末までの毎月の給与から特別徴収され、自営業などその他の方は、市区町村送付される納税通知書で、年4回に分けて納める普通徴収になります。

住民税の納付先

住民税は「1月1日に住んでいる自治体から、前年1年間の所得に対して課税される」税金です。例えば、東京都世田谷区に住む人が2020年1月2日に杉並区に引っ越した場合、2020年の住民税を納める先は、2020年1月1日に住んでいた世田谷区になります。そのため、引越し後に現在住んでいない自治体から納付書が届いたとしても、その年の1月1日時点に住んでいた住所の自治体から届いたのであれば間違いではありません。

住民税は都道府県や自治体によって違う?

標準税率は全国で同じですが、一部の地域は住民税が加算されているため、わずかに差があります。この加算される税は超過課税や法定外と呼ばれ、財源確保や環境対策などの政策目標のために利用されます。

例えば岩手県では、2006年度から森林環境を保全するために「いわての森林づくり県民税」を導入中です。県民税の均等割に1,000円加算されるため、住民税が標準より1,000円高くなります。また2016〜2023年度までの間は、復興財源分として500円加算されているため、この期間は合計1,500円が加算される計算です。

ほかにも、秋田県や山形県などが環境保持のために県民税の均等割に上乗せしています。

超過課税は自治体によって金額が違うため、お住まいの地域がどのくらいの住民税か知りたい方は、自治体のWebサイトなどで調べてみましょう。

引越しに関する住民税の手続き

引越しに伴いさまざまな手続きが発生しますが、多くの場合、住民税に関する直接の手続きは必要ありません。ただし、フリーターや個人事業主の場合、納付そのものは自分自身で行う必要があるため、該当する人は注意しましょう。

住民税に関する手続きはない

引越しの際に必須となる手続きは「転入・転出届」など住民票の異動です。「転入・転出届」を提出すれば住民税の納付先も自動的に変わるため、「住民税」に関する手続きは特に必要ありません。また、住民税に関して何か手続きを行わなかったからといって、住民税を引っ越す前の住所と引っ越した先の住所両方の自治体から二重に請求されたり、気が付かないうちに給与から二重に天引きされたりすることはありません。

しかし、引越しに伴う「転入・転出届」の役所への提出は住民基本台帳法によって義務付けられています。この手続きを怠ると、引越し前の自治体から住民税を請求され続けることになるでしょう。また、引越し後に役所へ「転入・転出届」を提出していないことが発覚すると、最大で5万円以下の過料を課される可能性もあるため注意しましょう。

会社員であれば会社が住民税を納付してくれる

会社員の場合は給与から住民税が天引きされているため、自分で納付手続きをする必要はありません。ほとんどの会社は社員の前年の所得から計算した税額を12分割し、毎月の給与から天引きして自治体に支払っています。とはいえ、「転入・転出届」の提出は会社員の場合でも自分で行わなければならず、会社にも新住所を届け出る必要があります。なお、年の途中で会社を退職する場合、元の会社でその年の分の住民税を一括で支払うことも可能なため、必要に応じて会社に相談してみましょう。

会社に住所変更を伝えるタイミング

会社が給与から天引きし、市区町村へ住民税を納付するため、引越しで従業員の住所が変更になると、会社側でも手続きが必要です。そのため、引越し先と予定日が決まったタイミングで早めに報告しましょう。事前に報告し忘れた場合は、できるだけ早く会社に報告しましょう。

会社は住民税だけでなく、社会保険や年金などの手続きも行っています。住所変更の報告を忘れると住民税だけでなく、保険や年金に関しての重要な情報が届かないなどの影響が出るため注意が必要です。

報告先は社員の情報を管理する総務部など総務業務を行っている部署となることが多いようです。必要に応じて上司、同僚などに確認、相談しましょう。

会社に報告するタイミングについてはこちらの記事で詳しくご紹介します。

会社員でも納税通知が届く場合がある

会社に勤めていれば基本的に住民税の手続きは必要ありませんが、確定申告で普通徴収を選択した方には納税通知が届きます。

また、副業を行い、給与所得以外の所得金額の合計が20万円を超えている方は、確定申告が必要です。申告をすると、前年度の副業分がプラスされた所得から住民税が決定され、給与から差し引かれます。そのため、確定申告で「給料から差引き」を選択していれば、納税通知は届きません。

例外として、確定申告第二表の「住民税・事業税に関する事項」で、「給与所得以外の住民税の徴収方法の選択」にある「自分で納付(普通徴収)」を選択すると、納税書が送付されます。納付を自分で行いたい方は、確定申告時に普通徴収を選択しましょう。

フリーターや個人事業主は自分で住民税を納付する

会社員の場合は住民税の支払いを会社が行ってくれますが、会社に属さないフリーターや個人事業主の場合は確定申告を行って自分で住民税納付の手続きを行う必要があります。具体的には、フリーターや個人事業主の場合、役所から郵送される納付書に必要事項を記入し、金融機関などで支払います。納付期限を過ぎた場合は自宅へ督促状が届くので期限は遵守しましょう。それでも支払わずにいると、延滞金が発生する可能性があります。何度も督促を無視すると税務署から調査が入り、財産差し押さえまで発展してしまうかもれません。税金の納付は国民の義務のため、納付期限を遵守して必ず支払いましょう。

退職した場合は自分で住民税を納付する

退職前に再就職先が決まっていれば、引き続き給与から住民税が天引きされるため、自分で納付する必要はありません。ただし、転職する会社に天引きの継続を依頼し、前の会社と手続きをしてもらう必要があります。切り替えの手続きに時間がかかり、その間に住民税を支払う必要がある際は、自分で納付手続きを行うか、数ヶ月分の住民税をまとめて支払うように退職する会社に依頼をしましょう。

1〜5月に退職した方は、最後の給与または退職金から5月までに支払う予定だった残りの住民税が一括で天引きされます。退職月の給与と退職金の合計よりも、一括徴収される住民税が多い際は、普通徴収に切り替わり、自分で納付を行います。

6〜12月に退職した方は二つの選択肢があります。一つめは、退職する月のみの住民税を天引きしてもらい、普通徴収に切り替える方法です。二つめは、退職する月の給与と退職金から翌年5月までの住民税を一括で支払う方法です。自身の経済状況にあわせて、どちらかを選びましょう。

会社を退職した後、普通徴収に切り替えた方は自治体から納税通知書が届くため、自分で納付する必要があります。

住民税の納付を忘れた場合

普通徴収の納付書には納付期限があります。この期限を過ぎ、延滞税額が2,000円を超えると延滞金が発生します。

延滞金が発生すると、支払いが遅れた日数によって金額が加算されていくため、納付忘れに気づいた時点で早急に納付をしましょう。

延滞税の計算方法は「滞納税額×延滞日数×延滞金の割合(年利)÷365」です。延滞金の割合は、納付期限の翌日から1ヶ月以前、1ヶ月以降で変わります。

手元にある納付書の納期限が過ぎていても、自治体によっては納付ができるケースがあります。コンビニやスマートフォンなどで納付ができるバーコード付きの納付書は、取扱有効期限内であれば支払いができます。しかし、期限切れの納付書による支払いは延滞金が含まれていない住民税です。延滞金は別途送られてくる延滞金の納付書で納付するか、直接役所の窓口で支払う必要があるため注意が必要です。

まとめて納付したい方は、役所または金融機関で滞納金とあわせて納付ができます。

経済状況的に住民税の支払いが困難なときは、役所の窓口で相談しましょう。徴収猶予の付与や減免対象となる可能性があります。

※詳細は自治体によって異なるため、必要に応じて事前に各自治体にお問い合わせください。

住民票の住所変更

住民票 住所変更

住民税の納付先の自動変更は、住民票の異動に紐づいています。住民票の異動は、引越しの前後に行う手続きで、住民税のほか自治体が行うさまざまな行政サービスにかかわっているため重要です。ここでは、住民票を移す必要性や、異動手続きに必要なもの、手続きの手順について解説します。

住民票を移す必要性

住民票は、住民の基本情報である氏名、住所、本籍、生年月日などを自治体が正確に把握するためにあります。住民が受ける権利、果たさなければならない義務、利用できる行政サービスなどを管理し提供するための重要な書類です。住民税はもちろん、国民健康保険や国民年金、義務教育諸学校への就学通知や選挙権なども住民票の情報をもとに管理されています。したがって、引越しの際に住民票の異動を怠ると、住民税の支払いや国民健康保険料の納付、小中学校への就学などあらゆる面で不都合が生じるでしょう。そのため、住民基本台帳法では、引越し後14日以内に転入届を提出し住民票を移すことが義務付けられています。

なお、住民票の異動には、大きく分けて二つのパターンがあります。一つめは、今まで住んでいた市区町村と別の市区町村に引越しをする場合です。二つめは、同じ市区町村内で引越しをする場合です。それぞれ必要なものや手順が異なるため確認しておきましょう。

住民票を移す際に必要なもの(違う市区町村に引越しする場合)

異なる市区町村に引っ越す場合に必要なものは、転出届、転出証明書、転入届の書類と印鑑(認印可)、本人確認書類です。このうち、引越し前の市区町村役所に提出するのは転出届、引越し先へ提出するのは転出証明書と転入届です。これら三つの書類は役所に用意されています。これら書類の発行手続きをする際には、印鑑と、本人確認のために運転免許証や健康保険証などの身分証明書を持参しましょう。

住民票を移す際に必要なもの(同じ市区町村内で引越しする場合)

同じ市区町村内で引越しをする場合に必要なものは、本人確認書類と印鑑のみです。本人確認書類は顔写真付きのもので、マイナンバーカードや運転免許証、パスポート、有効期間内の写真付き住民基本台帳カード等のうちのいずれかを持参します。これらの書類を用意できない場合は健康保険証や年金手帳などの本人確認書類を2種類以上提示すれば、基本的に問題ないとされています。

住民票を移す手順(違う市区町村に引越しする場合)

住民票を移す際に必要なものの次に、住民票の異動の手順を説明します。異なる市区町村へ引っ越す場合は、まず現住所の役所で転出の手続きをします。役所に置いてある「転出届」用紙に必要事項を記入して窓口へ提出し、「転出証明書」を受け取ります。転出証明書は転入手続きに必要な書類のため、なくさないよう大切に保管しましょう。続いて、引越し先の役所で転入手続きをします。転出証明書、本人確認書類、印鑑を持参し、窓口で転入届出書の提出をしたら、住民票の異動手続きは完了です。

転入手続きは引越し前の転出手続きを終えてからでないと受け付けてもらえないので注意しましょう。転出の手続きは、引越し日の14日前から受け付けているため、余裕をもって済ませられます。一方、転入届には引越しした日から14日以内という提出期限があるため早めに手続きをしましょう。

住民票を移す手順(同じ市区町村内で引越しする場合)

同じ市区町村内に引っ越す場合は、役所で転居届を提出するのみで、「転入・転出届」の手続きは必要ありません。役所に置かれている「住民異動届」用紙の「転居届」欄にチェックを入れ、必要事項を明記し窓口へ提出します。転居届も転入届と同様に引越し後14日以内が提出期限です。なお、転入届と異なり、郵送での手続きはできないため注意しましょう。土日に届けを受け付けている自治体もあるので、平日に役所へ出向くことが困難な場合は事前に確認しておくと良いでしょう。

役所に行けない場合

代理人に住所変更をしてもらう

委託者本人が書いた委任状と必要な書類があれば、代理人による転出・転居・転入の手続きが可能です。必要事項を手書きで書いた紙でも委任状として認められますが、記入漏れを防ぐためにも、自治体のサイトでダウンロードできる委任状テンプレートを使用しましょう。記入の際は、黒のインクのボールペンを使用し、印鑑は朱肉を使ってはっきりと印を押します。

書類に不備があると手続きを断られる可能性があります。二度手間を避けるためにも、代理人に依頼する前に漏れがないかきちんとチェックをしてから手続きをお願いしましょう。

郵送する

異なる市区町村に引っ越す際は転出届が必要です。郵送でも届出を受け付けているため、役所へ行く時間がない方は、郵送を検討しましょう。

まず、転出届と本人確認書類のコピー、切手を貼った返信用封筒を同封し、引越し前の市区町村役所に郵送します。受理されると新しい住所に転出証明書が届くため、引越し後の市区町村役所で転入届を出します。返送されるまで時間がかかる可能性があるため、手続きの期限ギリギリに転出証明書が届くことがないように引越し前から準備を進めましょう。

転入届の特例を利用する

転出入の手続きの際、マイナンバーカードまたは住民基本台帳カードを持っている方は、転入届の特例を利用できます。紙の証明書を使用せず、マイナンバーカードもしくは住民基本台帳カードで転出入の届出が完了します。窓口で手続きをするほかにも、郵送やネットで届出が可能です。

ただし、転出予定日から30日が経過する、または転入日から14日が経過すると、特例が適用されません。このほかにも、カードの紛失や暗証番号の喪失があると、適用外になる可能性があるため、利用する際には注意しましょう。

住民税に関する注意事項

ここまで、住民税の仕組みや対応、関連して必要になる住民票の異動について説明してきました。ここでは改めて、住民税や住民票の住所変更に関する注意事項を確認しましょう。

引越し後の住民税や住民票に関する手続き

住民税に関する手続きは必要ありませんが、住民票の住所変更の手続きは必須です。転入届・転居届については、引っ越した日から14日以内という期限もあるので、早めに対応しましょう。

住民税の納付

給与から天引きされるのが一般的なサラリーマンは納付が遅れる心配は少ないですが、自分自身で支払いを行う必要のあるフリーターの方や個人事業主の方は納付期限を守って支払いましょう。

まとめ

今回の記事で確認してきたように、引越しにあたって住民税に関する直接の手続きは必要なく、住民票の異動も複雑なものではありません。しかし、引越しの前後にすべきことは多く、必要なことをつい後回しにしてしまいがちです。特に期限の決まっている公的な手続きはできるだけ早めに完了させてしまうことが大事です。役所への転居・転入・転出届は速やかに行いましょう。