パスポートの住所変更は引越しのときに必要?変更が必要なケースや方法を解説!

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summary
  • 引越しによって住所が変わるのみであればパスポートの住所変更は必要ありません
  • 「本籍地の都道府県名に変更が生じた場合」や「氏名などの記載事項に変更が生じた場合」はパスポートの申請手続きが必要です
  • パスポートの申請手続きをする際は「住所変更記載事項変更旅券」か「訂正新規申請」を行います

引越しの際には住民票や運転免許証などの住所変更が必要となることから、「同じように公的証明として使用できるパスポートも住所変更が必要?」と気になっている方もいるのではないでしょうか。実はパスポートの場合は住所変更が必要なケースと不要なケースがあるため、ご自身の場合はどうなのかを事前に確認しておくことが大切です。

そこで、今回はパスポートの住所変更に関する基礎知識を解説します。具体的な住所変更手続き方法や写真を用意する際の注意点などもご紹介するので、引越し時にぜひ参考にしてみてください。

住民票の異動手続きについてはこちらの記事で詳しくご紹介します。

引越しにおいてパスポートの住所変更は必要?

地図とパスポート

引越しで住所のみが変わった場合は、基本的にパスポートの住所変更は必要ありません。もともと住所はパスポートの「所持人記入欄」に任意で記入するものなので、引越しによって住所が変わっただけであれば申請不要とされています。

パスポートの住所変更手続きが不要な理由パスポートは身分証明書としても利用できる公的な証明書であることから、「本当に住所変更手続きをしなくて大丈夫?」と不安になる方もいることでしょう。しかし、そもそもパスポートの役割は記載されている「氏名」「生年月日」「性別」「国籍(本籍)」を証明することです。記載されていない「住所」については証明の対象外となっているため、役所などで特別な手続きを行う必要はありません。

(所持人記入欄がある場合)自分で住所の記入欄を変更することが大切

単に引越しに伴う住所変更のみであれば申請の必要はありませんが、パスポートに記載されている住所をご自身で変更しておくことをおすすめします。住所はパスポートの最終ページにある「所持人記入欄」に記載されているため、その部分の「現住所」に書かれている住所を二重線で消して、すぐ下に新しい住所を書き込みましょう。ただし、2020年2月4日以降に申請したパスポート(通称:2020年旅券)には所持人記入欄が設けられておらず、必然的にご自身での変更は不要です。

引越しに伴ってパスポートの申請手続きが必要なケースとは

引越しにおける住所変更のみであれば手続き不要ですが、以下に該当する場合は申請を行う必要があります。

本籍地の都道府県名に変更が生じた場合

結婚して新居で生活を始める場合のように、本籍地の変更が必要な場合もあることでしょう。もしも本籍地の都道府県が変更になった場合は、パスポートのICチップに記録されている情報も変更する必要があるため、申請手続きが必要です。

なお、本籍地を変更した場合でも、新しい本籍地が以前の本籍地と同じ都道府県であれば申請の必要はありません。また、市区町村の合併などの理由で本籍地の地名が変更になるケースも見られますが、その場合もパスポートの住所変更手続きは不要です。もしも「所持人記入欄」のあるパスポートの場合は、先述のように古い地名の名称を二重線で消したうえで新しい名称に書き換えておきましょう。

その他のパスポート記載事項が変更になった場合

結婚や養子縁組などにより戸籍上の氏名が変わった場合や、国際結婚などで外国の氏名などを別名として追記する場合にも申請手続きが必要です。また、戸籍上の性別や生年月日に変更が生じた場合も同様に申請を行いましょう。

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パスポートの記載事項を変更する2つの方法

引越しや結婚などで本拠地の都道府県や氏名に変更が生じた場合は、忘れないようになるべく早めに申請手続きを行うことが大切です。申請方法は以下の2通りで、どちらか都合の良いほうを選択できます。

1.「記載事項変更旅券」の申請手続きを行う

2.変更後の内容でパスポートを新規申請する(訂正新規申請)

上記2つの方法における大きな違いは、有効期限が変更されるかどうかです。「記載事項変更旅券」を申請する場合は申請前のパスポートの有効期限を引き継ぎますが、「訂正新規申請」の場合は申請した日に新しい有効期限が設定されます。

なお、以前は上記2つの方法のほかに「訂正旅券」と呼ばれる申請方法もありましたが、2014年3月をもって廃止となりました。訂正旅券によるパスポートのICチップには記載事項の変更内容が反映されておらず、出入国審査や渡航先での手続き時に支障が出やすいためです。そのため、パスポートの記載事項を変更する必要がある場合には上記2つのいずれかの方法で申請する必要があることを認識しておきましょう。

パスポートの「記載事項変更旅券」と「訂正新規申請」の申請方法や費用について

ここでは、パスポートの「記載事項変更旅券」の申請手続きや「訂正新規申請」を行う際の場所や必要書類、費用、申請手順についてご紹介します。

手続き場所

パスポートの記載事項変更手続きは、住民登録している各都道府県の窓口で手続きを行います。手続きできるのは基本的には平日のみですが、日曜日でも受け取りだけは可能なケースもありますので、各都道府県のホームページを確認しておきましょう。

なお、単身赴任や大学などへの通学のため、住民登録とは異なる住所に一時的に住んでいるような場合は「居所申請」が可能です。居所とは「生活の本拠ではないがある程度の期間居住する場所」のことで、居所申請であれば住民登録している都道府県まで行かずに申請できます。

必要な書類

変更手続きの際は、以下の書類を準備しましょう。

  • 一般旅券発給申請書(記載事項変更用):1通
  • 旅券の記載に変更を生じたことが確認できる戸籍謄本又は抄本(原本):1通
  • 住民票の写し:1通
  • 写真(縦45ミリメートル×横35ミリメートル):1枚
  • 有効旅券

「一般旅券発給申請書」はパスポート申請窓口で入手可能ですが、外務省の「パスポート申請ダウンロード」サイトからも入手できます。あらかじめ自宅で記入しておけば窓口での手続きがスムーズに行えるでしょう。ただし、電子的な申請を行うことはできませんのでご注意ください。

また、住民票の写しは、「住民基本台帳ネットワークシステムの利用を希望しない」「住民登録をしていない単身赴任者や就学先等の都道府県で申請したい」のいずれかに該当する場合のみ必要です。

有効旅券は、各都道府県の窓口で失効処理が行われ、同じ有効期限のパスポートが新たに発行されます。

なお、海外で手続きを行う場合は、必要に応じて滞在資格を確認できる書類が必要な場合もありますので、詳細は各在外公館のホームページで確認しましょう。

発生する費用

費用については「記載事項変更旅券」の申請手続きを行うのか、それとも「訂正新規申請」を行うのかで異なります。それぞれの費用を以下で確認しておきましょう。

記載事項変更旅券を申請する場合 6,000円
訂正新規申請の場合 10年用パスポート:16,000円
5年用パスポート(12歳以上):11,000円
5年用パスポート(12歳未満):6,000円

先述の通り、記載事項変更の場合は変更前の有効期限を引き継ぎます。そのため、パスポートの満期が近づいている場合は訂正新規申請にて手続きするほうがよいでしょう。

申請方法

申請者本人が住民登録している都道府県の窓口で申請を行います。本人の申請が原則ですが、必要な手続きを行えば代理の人による申請も可能です。代理申請を行うには、申請者本人が、申請書の裏面にある「申請書類等提出委任申出書」に必要事項を記入しておくことが必要です。また、申請書自体にも「所持人自署」や「申請者署名」など、申請者本人が記載すべき欄がありますので注意しましょう。

なお、代理申請の場合は、以下に挙げる代理人の本人確認書類が必要です。

  • マイナンバーカード(マイナンバー通知カードは不可)
  • 運転免許証
  • 船員手帳 など

健康保険証や年金手帳はそれだけだと本人確認書類として認められないため、会社の写真付きの身分証明書などとあわせて提示する必要があります。

本人が窓口にいけないときに便利な代理申請の制度ですが、紛失等の届出や居所申請、申請書の「刑罰等関係」に該当する事項がある場合など、代理申請ができないケースもありますので、詳しくは都道府県のホームページを確認しましょう。

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パスポートの記載事項変更に関して押さえておきたい注意点

カレンダーとパスポート

パスポートの記載事項変更時に注意したいポイントは以下の通りです。

受け取りまでに日数がかかる

パスポートの申請から受け取りまでは、申請する都道府県の窓口の状況にもよりますが、約1週間かかります。パスポートを使う予定がある場合は、必要になるタイミングにあわせて計画的に申請しましょう。海外で手続きを行う場合、IC旅券作成機が配備されていない在外公館だと最大1ヶ月程度かかることもあるため特に注意が必要です。また、一般旅券発給申請書の刑罰等関係欄に「はい」と記入した場合、審査手続きに1~2ヶ月程度要するため、該当する方は各都道府県旅券事務所に事前に問い合わせておきましょう。

代理人による受取りはできないパスポートの代理申請は可能ですが、完成したパスポートを代理人が受け取ることはできません。なりすましによる不正取得を防ぐ目的からそのような規則となっているため、必ずご自身が受け取りに出向きましょう。

パスポートの申請手続きの際に必要な写真の規格は?

パスポートの記載事項変更手続きの際には「顔写真」を用意する必要がありますが、国際民間航空機関(ICAO)の勧告に基づいた厳格な規格が定められているため注意が必要です。渡航先によっては電子機器を利用した「顔認証技術」を用いて本人確認を行うこともあるため、規格通りの写真でない場合は取り直しを依頼される可能性があります。具体的には、「写真のサイズ」や「6ヶ月以内に撮影されたもの」、「申請者本人のみが正面を向いたもの」、「無帽であるもの」など基本的な注意点のほか、以下の点にも注意しましょう。

柄のある背景は使用しない

均一の淡い色で、無地の背景で撮影しましょう。柄のある背景はもちろん、グラデーションが入っていたり、物が移りこんだりした写真も使用できません。

背景と服が同じ色や似た色にならないように注意する

背景と人物の境目が明確であることも、パスポート写真に定められている重要な規格です。もしも背景と服とが同じ色や似た色の場合は受理してもらえない可能性があるため、コントラストがはっきりするように心がけましょう。

背景の色は撮影する写真館やスピード写真機などによって異なりますが、一般的には白・水色・グレーが多く見られます。たとえば白い背景に白やベージュの服を合わせると境界線がぼやけやすいため、黒やネイビーといった濃い目のカラーの服を合わせるほうが無難です。ただし、白や淡いカラーの服は顔周りを明るく見せる効果があるので、そのような色味の服で撮影したい場合は水色の背景で撮影できるところを選ぶとよいでしょう。

また、細かいボーダー柄やストライプ柄、チェック柄などの服で撮影すると、「モアレ」と呼ばれる現象(柄の部分が波を打っているように見える現象)」が起こりやすいと言われています。柄物の服を希望する場合は花柄などほかの柄を選ぶか、縞模様であれば幅が広いタイプを選ぶことがポイントです。

なお、写真館ではホームページにパスポート写真の見本を掲載しているところも多く、事前にチェックしておくと背景のカラーを想定できるため安心です。もしもホームページに掲載されていない場合には、直接問い合わせてみることをおすすめします。

カラーコンタクトレンズは使わない

出入国審査における本人確認の際、瞳の色は重要な識別ポイントです。カラーコンタクトレンズをつけた写真がパスポートに使用されていると、渡航先の出入国審査で本人であるか疑いを持たれる場合もあります。また、コンタクトの淵にサークル上に着色されたいわゆる「サークルレンズ」についても、これまでトラブルになったケースはないようですが、使用しない方が無難といえるでしょう。

顔の輪郭を優先して撮影する

顔の寸法は「頭頂から顎までが、34ミリメートル±2ミリメートルに収まっていること」と決まっています。写真による本人確認では、目や鼻、口の位置などを重視しているため、時間の経過によって変化する髪型や髭などはあまり重視されません。

ボリュームが大きい髪型の場合は、頭の部分が見切れていても問題ありません。「両目の中心から頭頂までの距離=両目の中心から顎までの距離」とみなし、髪を除いた顔の大きさを確保しましょう。

また、乳幼児などで丸顔の場合で、顔から頭頂までが最小の32ミリメートルに満たないときは、耳を含めた顔全体が収まるように撮影します。

加工画像は避ける

瞳を大きくしたり顔のパーツを変形させたりなど、加工した画像も不適切です。美白処理やほくろを消すといった一見些細な加工と思えるものでも、本人確認の妨げとなる可能性があるため行わないようにしましょう。

なお、意図的な加工でなくても「ピントが合っていない」、「手ブレしている」、「ノイズ(画像の乱れ)やシャギー(階段状のギザギザ模様)、印刷時のドット(網状の点)やインクのにじみがある」ものも適当ではありません。

その他の注意点

顔の向きや表情にも注意が必要です。顔が左右に傾いていたり横を向いていたりするもの、また口角が大きく上がっているなど平常時の表情と異なるものはNGです。髪が目にかかっていないことも大切です。また、服装や装飾品にも気を付けましょう。帽子はもちろんのこと、幅の広いヘアバンドやタートルネックの洋服などで顔の一部が隠れていたり、ウィッグなど実際の容姿と著しく異なって見えたりするものも不適切です。眼鏡をかけている場合は、フレームが目にかかっていないか、照明が反射していないかを確認しましょう。

このように、パスポート用写真にはさまざまな規定があるため、「規格通りの写真に仕上がっているのかを自分自身で確認するのは不安」と感じる方もいるかもしれません。そのような場合は、ぜひ写真館で撮影することをおすすめします。カメラマンは証明写真を取り扱うプロで、規格に沿ったパスポート写真を撮影できるまで何度でも取り直しが可能です。費用はスピード写真よりも高めですが、確実に使用できる写真を用意したい方、スピード写真で失敗して何度も取り直すことを避けたい方は、ぜひ写真館でパスポート写真を撮影してみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回はパスポートの住所変更に関するルールや、本籍地の変更手続きを行う際の注意点をメインにご紹介しました。

引越しで住所が変わったのみであれば役所での申請は必要ないものの、最終ページの「所持人記入欄」に住所が記載されている場合は自分で書き換えておきましょう。また、もしも引越しに伴って本籍地も変更した場合は、先述の方法にてきちんと申請手続きを行うことが大切です。

引越し時にはほかにも住所変更などの手続きが多く、パスポートの記載に変更が生じても後回しにされやすい傾向があります。しかし、パスポートは身分を明らかにする重要な証明書なので、トラブルに巻き込まれないためにも規則に基づいてきちんと申請しましょう。

引越し後の手続き一覧はこちらの記事をご覧ください。