目次
- 引越しの挨拶は周辺の住民との関係構築のためおすすめですが不要な場合もあります
- 挨拶をする時間帯は引越し前日の日中が適しています
- 手土産は高価すぎないものを選びなるべく熨斗(のし)も付けましょう
引越しをした際は、新居の周辺住民との関係性を構築するためにも挨拶を行うことをおすすめします。挨拶をする際は、時間帯をはじめとする各種マナーを踏まえて、相手に失礼のないようにしましょう。この記事では引越し挨拶の必要性や、挨拶する時間、手土産などをご紹介します。
引越しの挨拶は行くべき?
そもそも引越しの挨拶とは、引越し作業時に発生する騒音や搬入の出入りについて、迷惑がかかることをお詫びするという意味で行うものでもあります。引越し時には、荷物の搬入や家具の設置などで騒音が出ることがあります。また、引越し業者のトラックが道路を塞いで、近隣住民に迷惑がかかることも予想されます。引越し前に挨拶を済ませておけば、こういった事情で生じ得るトラブルを予防できるでしょう。
特に、子どもがいる家庭の場合は、引越しの挨拶の際に子どもがいることも伝えておくと安心です。引越しの挨拶で近所付き合いをきちんと始めておくことで、子ども関係のことで困ったときに助けになったり、子どもがいる家庭が起こしがちな生活音などの騒音トラブルを起こりにくくすることができます。
引越しの挨拶についてはこちらの記事をご覧ください。
向こう三軒両隣に挨拶が基本、マンションは上下階も
引越しの挨拶に行くべき範囲は、物件の種類によって異なります。「向こう三軒両隣」という言葉があるように、基本的には両隣と向かい側3軒の計5軒に挨拶を行います。また、敷地が接している裏側の1軒にも挨拶をするとなお良いでしょう。
マンションなどの集合住宅の場合は、両隣の2軒と上下階で接する2軒の計4軒に挨拶しましょう。廊下を挟んで向かいにも部屋がある場合は、そちらにも挨拶すると安心です。生活音が響きやすい集合住宅では、トラブルを避けるためにコミュニケーションが大切になります。特に子どもがいる家庭は、なるべく家族そろって挨拶に行きましょう。
なお、管理人がいる集合住宅の場合は、管理人にも引越しの挨拶をしましょう。実際に顔を合わせることで、親近感が生まれ、トラブルがあったときの助けになることもあるからです。
引越しの挨拶に行くメリット
引越しの挨拶に行くメリットはいくつかあります。冒頭でご紹介したように、引越し当日は、荷物の搬入で騒音が出たり、引越し業者のトラックが道を塞いだりと、近隣に迷惑がかかる可能性があります。事前に挨拶をすることで、こういった場合でも悪印象を持たれづらくなり、引越し後のご近所関係が円満に進みやすくなるでしょう。
また、事件・事故・災害などのときに助け合える関係をつくるメリットもあります。挨拶をせず顔も名前も覚えてもらっていない状態では、自分を心配してくれる人も少ないでしょう。さらに、地域との関わりが少ないと緊急事態の際に情報を得られず困る可能性もあります。引越しの挨拶により人間関係を作っておくと、もしものときに助け合える関係をつくることにもなるでしょう。
引越しの挨拶に行くデメリット
引越しの挨拶に行くことはメリットだけでなくデメリットが生じる可能性もあります。特に女性の一人暮らしの場合、無理に挨拶を行う必要はありません。女性が一人で引越しの挨拶をすると、「今日から女性一人でこの部屋に暮らします」と周囲に教えることになり、盗難・ストーカーなど犯罪にあうリスクを高めることになってしまうかもしれません。
また、現代は近所の関わりを極力持ちたくないという人も少なくありません。単身世帯向けの物件においては、引越しの挨拶が歓迎されない場合も多く、引越しの挨拶が原因でかえって印象が悪くなってしまう可能性もあります。引越しの挨拶をすべきか迷った場合は、大家さんや管理人に相談してみると良いでしょう。
引越しの挨拶のタイミングは
前述したように、引越し当日には荷物の搬入などで物音が発生するため、引越し作業があることを事前に近隣住民に知らせておくと良いでしょう。そのため、新居の引越しの挨拶は前日までに済ませておくのが理想的です。とはいえ、遠方に引っ越す場合など、事前に新居へ行くのが難しいケースもあります。引越し作業を終わらせてから挨拶に行く場合も、できれば1週間以内には挨拶を済ませておきましょう。引越しの挨拶に行くのが遅くなってしまった場合は、挨拶と一緒にお詫びの言葉を付け加えると丁寧な印象を持たれやすくなります。
また、引越しの挨拶は旧居でも行うことをおすすめします。これまでお世話になった感謝の気持ちを伝えるとともに、引越し作業で迷惑がかかることもお詫びしておきます。旧居の引越しの挨拶も、引越し日の前日までには済ませておくと良いでしょう。ただし、引越し前は慌ただしいことに加え、訪問してもタイミングが合わず会えないこともあります。そのため、余裕をもって1週間前には引越しの挨拶を開始すると安心です。
いずれの場合も、引越しの挨拶は、なるべく早い段階で、手短に行うのが基本です。非常識なタイミングは避け、気持ちの良い挨拶を心がけましょう。
引越し挨拶のタイミングについてはこちらの記事をご覧ください。
引越しの挨拶に行くベストな時間帯
引越しの挨拶に行く際は、夜中や早朝の時間を避けた常識的な時間帯に訪問しましょう。引越しの挨拶に適した時間帯としては、土日の昼間がおすすめです。平日の日中は勤務している人が多く、訪問しても不在の可能性があります。逆に夜は、夕食中だったり、寝間着に着替えている可能性も考えられるため、なるべく土日の日中に訪問しましょう。
仕事で土日に引越しの挨拶に行けない場合や、訪問したものの相手が留守だった場合は、日を改めて再訪問します。やむを得ず平日に挨拶に向かう場合も、訪問する時間帯には注意しましょう。
以下では、引越しの挨拶に適した時間帯を平日・土日に分けてご紹介します。
土日の場合
前述したように、引越しの挨拶はなるべく土日に済ませましょう。時間帯は午前10時~午後5時までの間が適しています。あまりにも早すぎたり遅すぎたりすると、睡眠を妨げる可能性があるため注意しましょう。「引越しの挨拶に適した時間に伺えない」「挨拶に行ったが相手が不在であった」場合などは、午後7時~8時の時間を狙うと良いでしょう。挨拶をする際は、「夜分にすみません」と一言添え、夜間の訪問をお詫びし、なるべく手短に引越しの挨拶を終えるようにします。
ただし、午後9時以降の訪問はなるべく避けましょう。夕食時にあたってしまったり、すでに就寝の準備をしていたりする場合もあり、訪問が失礼にあたる可能性が高いからです。また、夜間は顔がはっきりと確認できず、せっかく挨拶に出向いたにも関わらずきちんと覚えてもらえないかもしれません。
平日の場合
前述したように、さまざまな理由で平日に引越しの挨拶をするケースがあります。平日は、午前10時~午後6時あたりの、早すぎず遅すぎない時間帯がおすすめです。早朝は、身支度や朝食の準備などで忙しかったり、就寝中の場合があるため避けましょう。
なお、平日は働いている人も多く、引越しの挨拶に行っても留守の可能性があります。その場合は、曜日や時間を改めて再度訪問しましょう。再訪問の回数は3回を目安にして、それでも不在の場合はメッセージカードなどを添えて引越しのご挨拶品をドアノブにかけておきましょう。何度も訪問するとかえって迷惑になりかねないため、引越しの挨拶は常識の範囲内で行うように心がけます。
引越しの挨拶の失敗パターン
引越しの挨拶は、訪問する時間に注意しつつ、挨拶の内容にも気を付けなければなりません。訪問に適した時間帯に挨拶に行っても、態度やマナーが悪いとかえって印象が悪くなります。たとえば、「清潔感のない恰好で挨拶に行く」「初対面でプライベートな話をする」などは避けましょう。また、地域によってしきたりや伝統がある場合もあります。大家さんや不動産屋に相談し、事前に下調べをしておくと安心です。初対面で相手に悪い印象を与えないように注意を払って引越しの挨拶回りをしましょう。
引越しの挨拶の失敗を避けるために、起こしやすい失敗を把握しておけば安心です。ここでは、引越し挨拶で起こしやすい失敗例をご紹介します。
挨拶するタイミングを逃した
引越し挨拶での主な失敗パターンとして、挨拶のタイミングを逃すことが挙げられます。引越し直後に挨拶しようと繰り返し訪問してもタイミングが合わず、会えないケースは珍しくありません。そのまま挨拶せずに日数が経っていくと、のちに「子どもが同じ学校に通っている」「回覧板を渡す必要がある」などの理由で頻繁に会う機会が生まれる可能性があります。挨拶をしていないと、会うたびに気まずい思いをするかもしれません。また、挨拶をしないことで、近所に「非常識な人だ」と悪い印象を与える可能性もあります。繰り返し訪問しても相手が留守の場合は、挨拶状や手土産をドアノブに置いておきましょう。
また、挨拶の順番にも注意しましょう。自治会長など、地域で役職がある人が近所に住んでいる場合は、先に挨拶をしておくと都合が良い場合もあります。大家さんや不動産屋などに、挨拶の順序を相談すると安心です。
挨拶が長くなった
挨拶時に長時間話し込むことも失敗の一つです。引越し挨拶の時点では互いに初対面のため、自分の情報を必要以上に話しすぎたり、相手のことを深く知ろうとしすぎたりすると警戒されるかもしれません。引越し挨拶では軽い自己紹介に留めて、その後ゆっくりと互いのことを知っていくように努めましょう。
また、挨拶時に相手に苦情や自慢話をするのは避けましょう。挨拶は第一印象を決める大切な機会です。相手に嫌な思いをさせて印象を損なえば、その後のご近所付き合いで助けてもらえなかったり、地域の情報が共有されなかったりなどの支障が出る可能性があります。トラブルを避けるためにも、最初の挨拶は必要最低限のことのみを伝えましょう。
手土産は持って行ったほうが良い?
引越し挨拶には、手土産を持っていきましょう。挨拶と同じように、手土産は第一印象を決めるアイテムの一つです。手土産を持って挨拶に行けば、トラブルが生じた際も揉め事に発展しにくくなり、互助関係も築きやすくなります。
手土産は、お菓子や日用品など、渡す相手に気を遣わせない程度の品物が一般的です。挨拶時に多くの近隣住民と会う可能性もあるため、挨拶する軒数よりも多めに用意しましょう。
ここでは、引越しの挨拶時に持ち寄る手土産の相場や、マナーをご紹介します。
引越し手土産の相場
引越し挨拶の際に持参する手土産は、あまり高価すぎないものを選びましょう。単価500円~1,000円が相場で、受け取る側がお返しについて気を遣わなくとも良い程度のものが理想的です。
手土産の選び方
手土産は、「誰がもらっても困らないもの」を基準に選びましょう。特に食品の場合は、賞味期限が長いものを選ぶようにします。引越し挨拶はスムーズに行くとは限りません。「相手が不在だった」などの理由で、挨拶のタイミングが遅れる場合もあります。その際に、持ち寄った手土産の賞味期限が切れていては失礼にあたります。余裕をもって渡せるように、日持ちの良いものを選びましょう。
また、贈る品物は統一させることが大切です。相手によって品物を変えると、余計なトラブルになりかねません。大家さんや管理人などは、多少高価なもののほうが良い場合もありますが、それ以外は全員に同じものを贈るようにしましょう。
引越し挨拶の粗品についてはこちらの記事をご覧ください。
贈ってはいけないものはある?
引越し挨拶に選んではいけないものが複数あります。以下を参考に手土産を選びましょう。
好みが分かれるもの
人により好き嫌いが分かれるものは、引越し挨拶の手土産としては避けましょう。個性が強いデザインのものや独特の匂いがするものなど、相手の好みに合わなかった場合はむしろ迷惑がかかる場合があります。特に、性別や年齢によって嗜好が変わるものは避け、無難なものを選びましょう。
アレルギーがあるもの
人によりアレルギー反応を起こす可能性があるものも避けましょう。引越し挨拶の相手は初対面のため、相手がどのようなアレルギーを持っているかわかりません。食品を贈るときは、必ずアレルギー表示を確認しましょう。
縁起が悪いもの
「苦死」に通じる櫛や「縁を切る」に通じる刃物など、語呂合わせや使い方からの連想で縁起が悪いとされるものもあります。さらに、赤いものや火を扱うものなど「火事」に関連するものも避けたほうが良いでしょう。
熨斗(のし)は付けるべき?
熨斗(のし)は、箱にかける白い紙の右上にある飾りのことです。手土産を贈るとき、熨斗が必要というわけではありません。しかし、熨斗を付けることで、きちんとした印象を相手に与えられるだけでなく、挨拶に来た目的が相手に伝わりやすくなります。そのため、手土産はなるべく熨斗を付けて渡しましょう。
熨斗紙の中央には「水引」と呼ばれる飾り紐がついており、贈り物に込める意味合いによって水引の形を変える必要があります。引越しのような複数回経験してもおめでたい内容では、何度でも結びなおせる蝶結びの水引を使用しましょう。
また、熨斗紙には「表書き」も必要です。水引より上の部分に「御挨拶」や「粗品」などと書き、水引より下の部分には自分の名字を書きましょう。どちらも水引と縦一列に並ぶように熨斗紙の中央でそろえて記入します。連名の場合は世帯主の名前を中央に書き、以降左側に並べて書いていきます。表書きの記入は「幸せが太く長く」なるように、筆ペンやサインペンなどの太いペンを使用すると良いでしょう。
表書きが完了したら、熨斗紙を贈り物の外側に巻き付けるように包装します。これは「外熨斗」と呼ばれる方法で、表書きが見やすく内容をすぐに把握してもらえます。
挨拶状は添えたほうが良い?
引越し挨拶の手土産には、挨拶状も付けるとより親切です。特に、相手の留守が続きなかなか手土産を渡せないときは、口頭での挨拶代わりに、手土産に挨拶状を添えて郵便受けやドアノブにかけておきましょう。
挨拶状には、自分たちの名前と引っ越してきた場所、相手が不在であれば代わりに手紙で挨拶する旨などを記載します。小さな子どもがいる場合は、騒音による迷惑をかけるかもしれないと書いておくと安心です。最後に、結びの言葉を添えるのを忘れずにしましょう。
挨拶状を書くときは、レターセットやメッセージカードなどを使用します。挨拶状は第一印象を決める大切な要素のため、今後の近所付き合いも考えて手を抜かずに作成しましょう。また、挨拶状は封筒に入れて添えておくと、より丁寧な印象を与えられます。封筒を使う際は、茶封筒を避け、派手すぎないものか白無地のものを選びましょう。
時間が合わなければドアノブに手土産でも良い?
何度も触れているとおり、引越し挨拶時に相手が不在の場合もあります。曜日・時間帯を変えて3回訪問しても相手が不在の場合は、相手とのライフスタイルが異なる可能性があります。何度も訪問すると迷惑になるため、手土産をドアノブにかけておくか、郵便受けに投函しましょう。その際、手土産と一緒に挨拶状を添えておきます。
手土産をドアノブや郵便受けに置いていく場合、食品など期限があるものや、外に長時間置けないものは避けましょう。手土産を外に置いておく場合、タオルや日用品などが適しています。
ただし、長期間ドアノブに手土産がかかっている場合、その家が留守であると周囲の人にばれる可能性があります。こういった事情からドアノブに手土産をかけることを快く思わない人もいるので、注意しましょう。
まとめ
この記事では、引越し挨拶の必要性やタイミング、失敗パターン、挨拶で持っていく手土産についてご紹介しました。引越し挨拶は第一印象を決める大切な行為です。新生活を快適に過ごすためにも、引越し挨拶をするときは相手に失礼のないように、タイミングや手土産などを考えましょう。マナーを守った挨拶を行うことで、その後の円滑な近所付き合いを実現してくださいね。