引越し時の保険の種類と補償範囲|注意点や各種保険の手続き法も紹介

引越し時の保険の種類と補償範囲|注意点や各種保険の手続き法も紹介
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summary
  • 家財の破損に適用される保険には、引越し業者が加入しているものと、個人で加入するものの2種類があります
  • 保険による補償を受けるためには、事前に準備や手配をしておかなければなりません
  • 引越しにともなって、個人で加入している保険の変更手続をしなければなりません

引越し業者は引越しのプロです。しかし、ときには輸送中や搬入出時にトラブルに見舞われてしまうこともあります。万が一に備えて、引越し業者は保険に加入していますが、どのような内容なのか、知らない人も少なくありません。

本記事では、引越しに関係する2つの保険とその適用範囲、補償を受けるための注意点について解説します。また、引越しにともなう個人の各種保険の変更手続についても解説します。

引越し時の保険の種類

引越し時にかけられる保険には、2つの種類があります。

  • 運送事業者貨物賠償責任保険
  • 引越荷物運送保険

個人で加入するものなのか、引越し業者が会社で加入しているものなのかが違います。どちらも引越しによる荷物の破損や紛失を補償する保険ですが、細かな違いを含めて解説します。

運送業者貨物賠償責任保険

運送業者貨物賠償責任保険とは、引越し業者が加入する保険のことです。国土交通省の定める標準引越運送約款に基づき、万が一、運搬中にお荷物の破損・紛失があった場合、引越し業者はお客さまに対して補償をする義務があります。多くの引越し業者を含む運送事業者は運送業者貨物賠償責任保険に加入しています。

補償額の上限は1,000万円で、一般的な荷物の補償はできる金額になります。保険料負担は引越し業者側がするもので、依頼者側の負担はありません。加入手続きも必要ないため、引越しの契約をする際に別の手続きは必要ありません。

加入している保険会社は、申込書などに記載があるはずです。しかし、補償を適用してもらうためには引越し業者の過失であることを証明できなければなりません。「保険補償をうけるための注意点」で証明する方法を記載しています。確認して、トラブルが起きてもすぐに相談できるようにしておきましょう。

引越荷物運送保険

引越荷物運送保険とは、引越しする側、つまり依頼者が任意で加入する保険のことです。引越し業者のプランに付帯されているものもありますが、自身で別途契約することもできます。基本的には保険料である1,000~2,000円を負担しなければなりません。

運送事業者貨物賠償責任保険との違いは、引越し業者に過失のない荷物の破損や紛失にも対応している点です。詳しくは次章で解説しますが、引越しによる家財の破損を、自身でもしっかり守りたい場合は加入して損のない保険です。

補償金額の上限は1,000万円で、運送事業者貨物賠償責任保険と合わせると2,000万円の補償を受けられることになります。引越荷物運送保険は任意であるため、加入の可否は完全に依頼者側の自由です。引越し業者によっては加入推奨として勧めてくる場合もありますが、不要であれば契約する必要はありません。

運送業者貨物賠償責任保険の適応範囲

運送業者貨物賠償責任保険の適応範囲は、補償される範囲とそうでない範囲、および条件付きかつ補償に制限がかかっているパターンがあります。どの範囲までが保険の適用範囲なのかをしっかり覚えておきましょう。

補償される範囲

運送事業者貨物賠償責任保険で補償が受けられる範囲は以下のものです。

【補償される範囲】

  • 積み込み・荷下ろし・輸送中・保管中に偶然発生した事故
  • 依頼主が訴訟を起こした際の訴訟・仲裁・調停にかかる費用

わかりやすくまとめれば、引越しの最中に起きたトラブルで荷物が破損・紛失した場合と、それに関連する訴訟にかかる各種費用が適用範囲です。引越し業者による重大な過失が認められた、あるいは故意による破損・紛失は、その事実が認められれば補償の適用になります。

ただし上限額は1,000万円であるため、それ以上の損害が出た場合は満額での補償は受けられません。また、あくまでも引越し業者のミスによるものが対象です。利用者の故意による破損・紛失まで補償してもらうことはできません。

補償されない範囲

運送業者貨物賠償責任保険で補償されない範囲は以下のものです。

【補償されない範囲】

  • 引越し会社の故意や重大な過失
  • 依頼主の故意による事故や荷物の破損
  • 依頼前にあった荷物の品質不良、破損
  • 自然消耗(氷が解ける)など
  • 自然災害での事故
  • 国家の戦争や軍事活動、テロ、ストライキ、暴動による損害

先にも簡単に触れたとおり、運送事業者貨物賠償責任保険は引越し業者の故意・過失であることが補償適用の前提条件です。依頼主の故意による破損や紛失、初期不良や運送前から引越しによって形状が変化する可能性のあるものに関しては適用されません。

また、以下の荷物も補償適用外とされています。

  • 宝飾品、貴金属などの宝石類
  • 現金や地金・有価証券
  • 美術品・骨董品・絵画
  • 設計図・模型・帳簿
  • その他違法性のあるものや公序良俗に反するもの

希少性の高いものや金品は補償の対象外です。引越し業者によっては引越し前に、上記の荷物は利用者側での輸送を依頼される場合もあります。ただし保険契約の内容によっては上記以外にも適用対象外となるものもあるため、事前に適用外の範囲を確認するようにしましょう。事前に確認の上補償されないとわかっている荷物については、基本的に自身の手で輸送することをおすすめします。

条件付きで補償が制限されているもの

適用条件が厳しめの運送業者貨物賠償責任保険ですが、一部荷物は条件付きで補償が受けられるものがあります。ただし補償には制限がついており、完全な補償はできないことを覚えておきましょう。

【条件付きで補償が制限されているもの】

  • 青果・生鮮食品
  • 温度管理が必要なもの
  • 電化製品の故障
  • ペット・植物
  • 自転車・バイク
  • その他荷造りが不十分で破損してしまった荷物

上記条件は、運送中の火災や爆発、運搬に使用していた車や船の転覆・脱線・事故などによって損害が発生すると適用されるとしています。言い換えれば自然災害を除く不測の事態による損害に対しては、ある程度の補償が受けられるのです。

引越荷物運送保険の適応範囲

個人で加入できる引越荷物運送保険の適応範囲は、運送事業者貨物賠償責任保険よりも適用範囲が広いのが特徴です。とはいえ、すべての損害に対して適用されるわけではありません。しかし、運送事業者貨物賠償責任保険だけでは心もとない人にとって、ありがたい保険内容であることは間違いないでしょう。

補償される範囲

引越荷物運送保険の補償される範囲は、以下の条件で荷物が破損・紛失した場合に適用されます。

【補償される範囲】

  • 依頼主が過失によって荷物を落とした
  • 引越し中に発生した盗難
  • 輸送中にもらい事故にあった

運送事業者貨物賠償責任保険では保証されていない利用者の過失も適用範囲に含まれています。そもそも引越荷物運送保険は、引越し業者ではなく利用者が被保険者になっています。そのため、引越し業者による過失以外の予見できなかった事故やトラブルによる補償を受けることができるのです。

補償されない範囲

一方で、引越荷物運送保険の適応範囲外のものもあります。

【補償されない範囲】

  • パソコンデータの消失
  • 遅延による損害
  • 地震や暴動などによる損害

明らかに引越しが原因でない場合の破損や紛失については、引越荷物運送保険でも補償適用外となっています。また、パソコンデータの消失については、勘違いしている人もいますがあくまでも外側の破損にのみ適用されます。内部に異常をきたしていても、補償対象外であるため注意が必要です。故障して困る電化製品や精密機器は、引越し業者に依頼せず、自身で運んだ方が良いかもしれません。

引越し時にトラブルが起きた場合

引越し時にトラブルが起きた、引越し後に異変に気が付いた場合は、以下の手順で保険補償の申請をしてください。

  1. 破損箇所を確認する
    引越し後すぐに荷解きを行い、荷物の確認を行う。その際に破損や紛失に気が付いた場合は、直ちに引越し業者に連絡する。
  2. 引越し業者に連絡する
    事故内容を正確に伝え、必要であれば証拠も提示する。引越し業者側が現状確認し保険の適用範囲とした場合、保険会社とのやり取りに切り替わる。
  3. 保険金請求申請を行う
    引越し業者から手配された保険会社、もしくは引越し業者から請求手続きに関する連絡が来る。必要な書類を記入して提出する。

引越荷物運送保険を個人で加入している場合も、引越し業者への連絡が必要です。引越し業者側で作成しなければならない資料があるためです。

なお、利用者が直接保険会社に連絡することもできますが、補償がされない可能性があります。破損や過失の責任が引越し業者にあることをはっきり証明できないために起こるケースです。引越し業者経由で契約している場合も、個人で契約している場合も、まずは引越し業者に正確にトラブルが起きたこととその証拠を提示しましょう。

引越しで多いトラブルについてはこちらの記事で詳しくご紹介します。

保険補償をうけるための注意点

引越しで受けた損害を補償してもらうためには、以下の3点に注意しましょう。

  • 引越し当日中に荷物の破損・紛失を確認する
  • 破損を見つけた場合、撮影しておく
  • 引越し業者と事前に打ち合わせしておく

保険の補償を受けるには期限があり、かつ引越しが原因であると断定できるだけの証拠が必要です。また、利用者だけで勝手に動くことがないよう、注意しなければならない点も意識しましょう。

引越し当日中に荷物の破損・紛失を確認する

引越しが完了したその日のうちに荷解きをし、荷物の破損や紛失がないかを確認してください。また、事故発生直後は荷物の紛失・破損の原因と責任がどこにあるのかを明確にするためにも、その場で確認するようにしましょう。保険適用期間は3ヶ月間と余裕を持たせてありますが、早期に確認することで引越し業者・利用者双方の記憶が新しいうちに請求できます。

引越し当日は、荷物の運搬に立ち会う、当日の作業責任者の名前を覚えておくなどしましょう。とくに引越し業者の繁忙期である1~3月はアルバイト作業員も増え、破損などの事故が起こりやすいタイミングでもあります。繰り返しになりますが、重要なのは誰がどのような状況で何を破損・紛失させたのかです。これによって保険適用請求ができるか否かが決まります。破損しないような梱包をすることも重要ですが、何かトラブルが起きた時には検証に立ち会えるようにしておくと良いでしょう。

破損を見つけた場合、撮影しておく

破損を見つけた場合、写真で破損個所を撮影し残しておいてください。スマートフォンのカメラでも構いません。最近は口頭での説明だけでは保険の申請手続きができないケースもあり、写真をメールに添付することで話が進むことも多いようです。もちろん、引越し業者としては口頭説明だけで証拠不十分という意味で申請手続きに進まないだけですが、証拠を提示されればより進みやすいでしょう。

作業中に発見した場合は一緒に確認ができますが、こちらも写真に証拠として残しておきましょう。お客様センターへ連絡を入れる際にメールに添付できます。また、大切な家具家電に関しては、引越し前の状態を写真に収めておくといいでしょう。撮影日が記録されるもので写真を残しておくことで、破損が生じているかどうかを引越し後に確認しやすくなります。

引越し業者と事前に打ち合わせしておく

割れ物や取り扱いに注意が必要なものなどを引越し業者に運んでもらう場合、引越し業者と事前に打ち合わせしておきましょう。どのダンボールに内が入っているか箱に記載しておくだけでもいいですが、赤の油性ペンやステッカーで「ワレモノ」「上積み禁止」と書いておくだけでも効果的です。引越し業者もそれを見て運搬方法や積み方を考えてくれます。

そのほか、利用者自身で持っていけるもので壊れると困るものは、キャリーバックなどの手荷物にまとめるとリスク回避できます。また、事前に補償範囲外になりそうな荷物をやむを得ない理由で引越し会社に運搬してもらう場合は、事前に引越し業者に相談しておくといいでしょう。未然にトラブルが発生する可能性を減らす努力をしましょう。

海外への引越しする際の保険

海外へ引越しする際には、ここまで紹介してきた保険とは別の専用保険があります。「海外引越し貨物保険」といい、以下の内容となっています。

概要
保険の適用期間
  • 荷物の梱包時点から引き渡しまで
  • ターミナル、見なロの保税倉庫に到着後60日以内
    (航空機の場合は荷卸しから30日以内)
補償範囲外の損害
  • 梱包が不十分な荷物の破損
  • カビやサビなどの自然発生した損害
  • 遅延による賠償
  • 放射能・化学兵器・電磁兵器などによる損害
  • 輸送中の振動による機器の不具合
  • 代替品の取り寄せ費用
  • パソコンデータの消失
  • 温度湿度の変化を原因とする破損・故障
  • 大規模なテロ・戦争などによる損害
  • 検疫で没収された輸入禁止品の費用
  • 容器破損で漏れた液体による他の貨物に対する損害賠償
補償対象外の貨物
  • 1点で10万円以上の美術品や骨董品
  • 現金・有価証券
  • 金・銀・プラチナの地金
  • 宝石・貴金属
  • 高級腕時計
保険金額 パッキングリストに記載した合計額から算出

海外への引越しサービスがある引越し業者が設定しています。また、上記の保険内容と異なる可能性もあるため、詳しくは引越し業者に相談しましょう。

引越し時の各種保険の変更手続きについて

本項から、個人で契約している火災保険や生命保険の変更手続きについて解説します。保険の種類によっては別の保険に切り替える必要があったり、変更期限が設けられているものもあります。住所変更をしていないと、万が一のときに保険が使えない場合もあるため、忘れずに手続きしましょう。

火災保険(家財保険)

火災保険は賃貸借契約とは別の契約です。そのため、引越し前の契約を継続することもできます。旧居で加入していた火災保険を変更して契約更新する場合は、保険会社に問い合わせ、住所変更する旨を書面で申請すれば完了です。

ただし物件や引越し先の所在地によっては、別の保険に加入しなければならないケースもあります。この場合はまず旧居で加入していた火災保険を解約し、別途新しい保険会社で契約を結ばなければなりません。契約内容にもよりますが、火災保険解約によっていくらかの保険料が返金されることもあります。

また、旧居がマンションで新居が木造一戸建てなどによって保険料が変更になる場合があります。この場合は保険会社に問い合わせてください。正しい保険料を支払っていないと、万が一の場合保険が使えないこともあります。差額分の返金が受けられる場合もあるので、わからなければ問い合わせてみるといいでしょう。

生命保険・自動車保険

生命保険・自動車保険も住所変更が必要です。変更書類の請求方法や申請方法が保険会社によって異なるため、契約している保険会社のホームページや契約書を確認して確認しましょう。必要な書類も異なるため、合わせて確認しておいてください。以下は、住所変更で必要とされる書類の例です。

  • 保険証券、もしくは証券番号を書いたメモ
  • 登録している電話番号
  • 新住所・新電話番号などの変更点がわかるもの
  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • 印鑑(店舗・郵送で申請する場合のみ)

なお、生命保険や自動車保険の場合は変更期限が設けられていないことがほとんどです。しかし、引越し直後でなければ住所変更をしたかどうかわからなくなってしまう人も少なくありません。住所が異なると、保険が下りない可能性もあるため早めに手続きをしておいてください。

引越し後には行政関係のもろもろの手続きをする必要があるため、同時期に済ませてしまっても良いでしょう。また、自動車に関する手続きでは車庫証明の取得や車検証情報の変更が必要な場合があります。これらの変更を先にしなければ変更申請できない保険会社もあるため注意が必要です。

車庫証明の手続きについてはこちらの記事でご紹介します。

国民健康保険

会社員で社会保険に加入している場合は会社への申告で済みますが、国民健康保険の場合は引越し後に自身で手続きしなければなりません。手続き先は新居がある市区町村役場で、期限は転入から14日以内とされています。もし手続きを怠っていると、病院に罹った際に全額自己負担になってしまうため、早めに手続きをしましょう。

よく転入・転出を届け出ると自動的に変更されると思っている人がいますが、国民健康保険は自動で切り替えされません。転出時には資格喪失証明書を発行してもらわなければならず、転入後に別途手続きが必要です。転入届の提出などで管轄の市区町村役場に行くタイミングで、資格喪失証明書を持っていき同時に変更手続きをしてしまいましょう。

国民健康保険の詳しい手続き方法はこちらの記事でも解説しています。参考にしてください。

まとめ

引越しで荷物の破損を補償するための保険について解説しました。引越しのプロとはいえ、手作業での運搬になるため、何らかの事故が起こらないとも限りません。少しでも安心を担保するために、引越し業者が加入している運送業者貨物賠償責任保険のほかに、引越荷物運送保険に加入しても良いでしょう。

また、引越し後の個人の保険についても変更手続きが必要です。万が一のときに使えないようでは意味がないため、引越ししてすぐに変更手続きをしてしまいましょう。