目次
- 引越し貧乏とは「引越しを繰り返すことで経済的に苦しい状況になること」を指します
- 引越し貧乏にならないようにするために「引越しにかかる費用の内訳」をしっかりと把握しましょう
- 引越し料金をおさえるには「好条件の引越し業者を選ぶ」「価格が高くなる時期を避ける」「トラックをレンタルし自力で引越しする」「長距離の場合はコンテナ便を利用する」などの方法があります
「引越し貧乏」という言葉がありますが、どのような意味かご存知でしょうか。引越し貧乏の状態になると、経済的にも精神的にも負担がかかることでせっかくの新生活を存分に楽しめなくなります。しっかりと対策したうえで引越し準備を進めていきましょう。
そこで、この記事では「引越し貧乏」にならないために知っておきたい基礎知識をまとめました。引越し時にかかる費用の種類や相場、さらには引越しを安く済ませる方法を知り、引越し計画を慎重に進めていきましょう。
引越し貧乏とは
そもそも「引越し貧乏」とは、引越しを繰り返すことによって金銭的に苦しい状況になることです。
引越しというと新居の契約時にかかる初期費用の負担が大きいイメージですが、実際はそのほかにもさまざまな費用がかかります。具体的に、どのような費用にどのくらいの金額がかかるのかを把握せずに引越しを繰り返していると、「引越し貧乏」になって生活が圧迫される恐れがあります。事前に引越し費用についてよく調べ、理解することが重要です。
引越しの主な出費一覧
引越しには、さまざまな出費が伴います。新居の初期費用など高額な出費から、日用品の購入など少額のものまでありますが、積み重なると大きな負担となります。知らぬ間に引越し貧乏になっていたという事態を避けるために、まずは引越しの際に必要な費用にどのようなものがあるのか、またそれらの内訳を押さえておきましょう。
現在住んでいる部屋の退去費用
現在賃貸物件に住んでいる場合は、退去費用が発生します。基本的に賃貸物件を退去する際には「入居時と同じ状態」で明け渡す必要があり、部屋の状態によっては以下のような費用を請求されます。
・原状回復費用
タバコのヤニや臭い、食べ物・飲み物をこぼしたことによってできたシミなど、入居者の故意や過失による傷や汚れがある場合は入居者側に原状回復の責任があります。ただし、経年劣化によって生じた傷や汚れは、退去時に費用を請求されることはありません。
・ハウスクリーニング費用
国土交通省の定める「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、ハウスクリーニング費用は貸主が負担するのが基本です。ただし、契約書類に「退去時のハウスクリーニングは入居者が負担する」などの特例が記載されている場合には、入居者側が費用を負担する必要があります。
退去費用は物件の状態や広さによって異なりますが、目安としてはワンルームで約15,000~50,000円、2DKで約30,000~80,000円を見ておくとよいでしょう。なお、退去費用は契約時に預けておいた「敷金」から引かれるシステムで、足りない場合は差額の請求を求められます。敷金が0円の物件の場合は退去時に別途費用を請求されるため、まとまった額のお金を用意しておくと安心です。
引越しの退去費用についてはこちらの記事をご覧ください。
引越し依頼料金
引越し業者に支払う料金も準備しておきましょう。引越し業者を利用する際に発生する費用の内訳は以下の通りです。
- 基準運賃
- 割増料金(引越し繁忙期や需要の高い日程で引っ越す場合)
- 実費(梱包用資材の費用・高速道路の料金・人件費など)
- オプション料金(特殊な家具の移動・家電の取り付け / 取り外し・ハウスクリーニング費用など)
依頼する引越し業者によって支払う料金やサービス内容が異なるため、依頼する前に料金・内容をしっかり確認しましょう。
引越しの料金相場
上記のように引越し依料金は条件に応じて大きく変わりますが、1つの目安として一般的な料金相場を把握しておくとよいでしょう。ここでは「単身者」と「二人暮らし」の引越しにおける料金相場をご紹介します。
単身者・二人暮らしの引越しにおける料金相場
■通常期(5~2月)に引っ越す場合
時期 | 単身 | 二人暮らし |
~15㎞未満 (市区町村内) | 29,570円 | 47,020円 |
~50㎞未満 (都道府県内) | 41,520円 | 59,540円 |
~200㎞未満 (同一地方内) | 71,080円 | 82,080円 |
~500㎞未満 (近隣地方) | 86,460円 | 97,460円 |
500㎞~ (長距離) | 101,830円 | 112,830円 |
■引越し繁忙期(3~4月)に引っ越す場合
時期 | 単身 | 二人暮らし |
~15㎞未満 (市区町村内) | 35,480円 | 84,640円 |
~50㎞未満 (都道府県内) | 49,830円 | 107,170円 |
~200㎞未満 (同一地方内) | 85,290円 | 147,740円 |
~500㎞未満 (近隣地方) | 103,750円 | 175,420円 |
500㎞~ (長距離) | 122,200円 | 203,100円 |
引越しする人数が多いほど運搬する荷物が多いことから、引越し料金は高くなることを把握しておきましょう。
引越し先の入居費用
賃貸物件に引っ越す場合は、主に以下の初期費用がかかります。
敷金
原状回復費用や家賃滞納分の担保として、管理会社や大家さんに預けるお金。退去時に退去費用を差し引いて残った分が返金される仕組みで、家賃の1~2ヶ月分が目安です。
礼金
大家さんに御礼として渡すお金で、基本的には敷金のように返金されることはありません。敷金と同様に家賃の1ヶ月分が相場です。
不動産会社への仲介手数料
大家さんとの間に入って調整や契約を行ってくれた不動産会社へ支払うお金で、家賃の0.5~1ヶ月分が相場です。
前家賃
家賃は基本的に前払いにて支払う必要があり、契約時に入居後1~2ヶ月分の家賃を納めます。
火災保険料
任意とされてはいるものの、万が一の火災や水漏れトラブルに備えて必ず加入を勧められます。保険業者によっても異なりますが、目安は約5,000~約11,000円程度です。
鍵交換費用
防犯面を考慮し、鍵を新しくするための費用です。金額は鍵の種類によって左右されますが、約15,000~20,000円程度を見ておきまししょう。
保証料
家賃保証会社に加入するための費用で、家賃の0.5ヶ月分が相場です。もしも家賃を滞納した場合は、保証会社が家賃を立て替えてくれるサービスです。
家具・家電の購入費用・処分費用
初めて一人暮らしをする場合、あるいは引越しを機に家具や家電を新調する場合は、購入費用としてまとまった金額を準備しておく必要があります。ここでは単身者で一から家具・家電を揃える場合に最低限購入したいものをリストアップしました。
一人暮らしで最低限必要な家具 | ・カーテン ・寝具 ・テーブル ・収納ボックス |
一人暮らしで最低限必要な家電 | ・冷蔵庫 ・洗濯機 ・電子レンジ ・炊飯器 ・掃除機 ・照明 ・空調機器(エアコンや扇風機、ヒーターなど) ・テレビ ・ドライヤー |
もしも家具・家電を新調するにあたって不用品を処分したい場合には、処分費用がかかる点に注意しましょう。不用品処分で一般的なのは「自治体に回収を依頼する」方法ですが、そのほかにも不用品回収業者に依頼する、引越し業者に引き取ってもらう、リサイクルショップやフリマアプリなどで売るといった方法があります。
たとえば自治体に回収を依頼する場合の費用は、ソファなら約800~約2,000円程度、ベッドなら約1,200~約2,000円程度(マットレスを除く)です。
日用品の購入費用
初めての一人暮らしでは、生活のなかで使用する日用品も新しくそろえる必要があります。新生活を不便なくスタートできるように、主に以下のアイテムを揃えておきましょう。トイレットペーパーやごみ袋など引越し当日でもすぐに必要なアイテムは優先的に購入しておきましょう。
バス・トイレ用品 | ・タオル類 ・バスマット ・シャンプー類 ・バス用掃除用品 ・歯磨き用品 ・トイレットペーパー ・バス・トイレ用掃除用品 など |
洗濯用品 | ・ハンガー ・洗濯バサミ ・洗剤・柔軟剤 など |
キッチン用品 | ・調理器具 ・食器類 ・カトラリー類 ・キッチン用洗剤 など |
そのほか | ・ごみ袋 ・ティッシュペーパー など |
そのほか諸費用
上記のほかにも、新居までの交通費や旧居・新居の周辺に挨拶をする際の手土産代といった細かな費用も予算に含めておくとよいでしょう。アパートやマンションなどの集合住宅の場合は、生活音が響きやすい両隣と真上・真下の4軒に、戸建ての場合は、向かいにある3軒と両隣の2軒、真裏の1軒に挨拶しましょう。挨拶の際の手土産代は、1軒あたり1,000円程度で選ぶと良いでしょう。また、旧居と新居の契約期間が重複した場合、二重で家賃を支払わなければならないケースもあります。
業者選びで引越し料金をおさえる方法
引越し時の出費をおさえて引越し貧乏になることを防ぐためには、引越し1回ごとの業者選びから工夫が大切です。以下でご紹介する方法を参考にしながら、費用をおさえた引越しを目指しましょう。
好条件の引越し業者を選ぶ
引越し料金をできるだけ安く済ませたいなら、複数の業者を比較して最も好条件のところを選ぶとよいでしょう。見積もり自体は無料なので、気になる業者があったらまずは見積もり依頼を行うことをおすすめします。
ただし、見積もり依頼を行うと電話やメールなどで頻繁に業者から連絡が来ます。特に「一括見積もりサイト」を利用するとすぐにたくさんの業者から営業の電話が入り、複数の業者とやり取りしなければならないため、面倒に感じるかもしれません。
そこでおすすめしたい方法が、業者比較不要でリーズナブルに引越しできるサービスを利用すること。当サイトが運営する「単身引越しナビ」もその一つで、安くて品質の高い最適な1社を条件に応じて紹介してもらえます。複数業者からの営業電話や勧誘は一切ないため安心です。札幌、仙台、首都圏、近畿、東海、福岡エリアで単身引越しを予定している方、一人暮らしを始める方は、ぜひ詳細をチェックしてみてください。
料金が高くなりやすい月・曜日・時間帯を避ける
引越しの時期にこだわりがない場合は、引越し料金が高くなりやすい月・曜日・時間帯を避けることも費用削減につながります。特に繁忙期は引越し料金が高くなり、需要の高い日程を選ぶと、通常月の倍近くになる可能性があります。
需要の高い月は新生活が始まる3~4月で、曜日としては土日や祝日、連休を取りやすい月曜日や金曜日が選ばれやすいです。また、時間帯は午前中に予約が集中しやすい傾向があります。早い時間に引越しを終わらせれば、その後ゆっくり片付けをしたり、引越し作業で疲れた体を休めることができます。比較的予約の少ない午後や夕方を選ぶか、時間帯を指定しない「フリー便」を利用するとさらに費用をおさえられます。
引越しの時期についてはこちらの記事をご覧ください。
レンタカーを借りて自力で引っ越す
引越し業者に依頼せず、レンタカーを借りて自力で引っ越す方法もあります。人件費を削減できることから、引越し業者に依頼するよりも費用が安くなる傾向があります。ただし、自力で作業する場合、荷物への補償がない点に注意が必要です。万が一引越し作業中に荷物を落とす、壁にぶつけるなどして、荷物や住居に傷が付いたり破損したりしても、全てが自己責任になります。最悪の場合、運搬作業中にけがをしてしまい、せっかくの新生活を気持ちよくスタートできないリスクもあります。
長距離の引越しの場合コンテナ便を利用する
長距離の引越しなら、貨物列車を活用した「コンテナ便」を利用するのも一つの方法です。トラックドライバーの人件費やトラックの燃料費をコストカットしているため安く利用できます。また、1度に何百トンもの荷物の輸送が可能なため、荷物量当たりの輸送単価を引き下げることで長距離引越しに伴う費用がおさえられています。特に500km以上(東京~大阪間程度)移動する場合、トラック1台で運搬するトラック便よりも費用を安くおさえられます。しかし、発送まで数日かかることもあるため、時間に余裕がある方におすすめです。
帰り便を利用する
帰り便とは、引越し業者のトラックが営業所に戻る帰路を利用して荷物を運んでもらうサービスです。配送が終了したトラックは、荷物を積んでいることがほとんどないため荷台に空きスペースがあります。その空きスペースを利用した「帰り便」は、時間・スペースの無駄を利用したシステムのため、割安で利用可能となっています。通常の引越しプランよりもリーズナブルな価格設定が魅力ですが、希望日に予約できないケースも多いため注意しましょう。
混載便を利用する
「混載便」を利用するのも、引越し料金をおさえるために有効な方法です。実は引越しトラックは常に荷物満載で運行しているわけではなく、半分程度のスペースが空いている状態で運行している場合が多いです。混載便とは、この空きスペースを利用して、同一地域への複数の荷物を1台のトラックに積み合わせて運ぶサービスです。通常の引越しのようにトラックを貸し切らず、引越し依頼者同士でガソリン代や高速料金を分割することから料金が安めに設定されています。
家具や日用品の準備で費用をおさえる方法
次に、家具や日用品の準備において費用をおさえる方法について解説します。引越し貧乏を避けるために、ぜひ以下のポイントをチェックしましょう。
家具を引越し先で購入する
引越しにおける出費をなるべく抑えるために、家具や家電は現在使用しているものを使うことをおすすめします。もしも家具を新調する場合はなるべく大きなサイズの家具は避ける、引越し先で購入するなどの工夫をしましょう。引越しのトラックには軽トラック、2トンのショートトラック、2トンのロングトラック、3トントラックなどがあり、トラックのサイズが大きくなればなるほど引越し料金が高くなります。そのため、もしも引越し前に家具を購入する場合は、引越し前に購入する場合は大きなサイズを避ける、あるいは引越し後に配達してもらえるように手配することがポイントです。
時間がかかっても不用品はなるべく売る
引越しは荷物が多ければ多いほど料金が高くなるため、できるだけ不用品を手放してから引越しするほうがベターです。不用品の処分にかかる費用を削減したい場合は、不用品買取りサービスやフリマアプリなどで売る方法がおすすめです。状態が良く需要の高い品物の場合は高値で買い取ってもらえる可能性があり、新しい家具を新調しようとする場合はその資金にも充てることもできます。少ないですが引越し業者が不用品買取りサービスを行っている場合もあり、引越し準備で忙しい人にはおすすめのサービスです。ただし、業者によっては追加料金がかかる場合もあるため事前に確認しておきましょう。もしもフリマアプリやオークションで売る場合は、いつ買い取り先が見つかるか予測できないというデメリットがあるので、引越しを決めたらなるべく早めに売る準備を始めましょう。
住居選びで引越し料金を節約する方法
最後に、住居選びにおいて引越し料金をおさえる方法をご紹介します。新居の契約時にかかるお金をなるべく少なくして引越し貧乏にならないために、ぜひ以下の内容を参考にしてみてください。
初期費用の安い物件を選ぶ
物件の契約時には敷金や礼金、仲介手数料などさまざまな初期費用がかかりますが、物件によってはそういった初期費用が相場よりも安く設定されている場合もあります。たとえば以下のようなケースを、物件選びの際にチェックしてみると良いでしょう。
フリーレント物件
一定期間の家賃が無料の物件のことで、無料期間は初めの1ヶ月~数ヶ月程度に設定されているケースが一般的です。大変お得ですが、契約期間の途中に退去する場合は違約金が発生する可能性もあるため注意しましょう。
ゼロゼロ物件
敷金と礼金がかからない物件のことで、契約時にかかる費用を大幅に削減できます。ただし、一般的に退去時の原状回復費用は敷金から差し引かれるため、敷金がない場合は退去費用がどのように請求されるのかをあらかじめ確認しておくと安心です。
引越しにかかる初期費用についてはこちらの記事をご覧ください。
まとめ
引越し貧乏にならないようにするためには、まずは引越し時にかかるすべての費用を細かく確認しておくことが大切です。そのうえで費用を削減できるところはないか検討し、工夫しながら引越し準備を進めていきましょう。
特に引越し業者に支払う料金は、好条件の業者を選ぶことによって効果的におさえられます。ぜひ今回ご紹介した内容を参考に引越し準備や作業を進めて、引越し貧乏を回避しましょう。