目次

- 引越しの際は家具の大きさによっては解体する必要があります
- 家具のなかには解体できる家具とできない家具があります
- 自分で解体できない場合は引越し業者に依頼するか処分するといった方法があります
- IKEAの家具は解体を前提として作られていないのでトラブルを懸念されて断られる場合があります
机や棚、ソファやテーブルなどの大型家具は運び出すのが大変です。家具の大きさにもよりますが、なかには解体した方が良い場合もあるでしょう。しかし使用されている部品や材料、手法によっては解体できない家具もあるので注意が必要です。
そこで今回は、引越しにおける家具の解体についてお話します。家具を解体する方法や解体時の注意点など解説しているので、大型家具の運搬にお役立てください。
引越し時に家具を解体(分解)する必要性

引越しの際は窓や玄関といった場所から家具をはじめとした荷物を搬出入しますが、大きさによっては廊下を通過できなかったり、窓や玄関を通過できなかったりします。引越し業者に依頼する場合は運ぶ際の角度を調整することでほとんどのものを運び出す・運び入れることができますが、なかには引越し業者でも難しいクセモノ家具も存在するため、ときに家具の解体が必要になるのです。
解体が面倒だからといって無理矢理にでも搬出入しようとしてしまうと、旧居や新居を傷付ける可能性がでてきます。退居時のクリーニング代が高くなったり、補修代を請求されたりする場合もあるので、運搬が難しそうな家具に関しては無理せずに解体してから運ぶようにしましょう。
解体が難しい家具の特徴

家具を解体する際に注意が必要なのが、「木ネジ(もくねじ)」を使った家具です。木ネジとは木材を連結する際に使用されるネジのことを言います。このネジが使用されていると何が問題なのかというと、解体時にネジを抜いたあとのネジ穴が組み立て時より広がってしまう点にあります。再度組み立てる際に解体前と同じ木ネジを使用してしまうと、サイズが合わずにガタついたり、酷い場合には組み立て時にネジが落ちてきたりしてしまうのです。
元のネジよりも少し大きめのネジで対応したり、足りない部分を溶接剤で補強したりもできますが、素人が元どおりの強度に組み立てるというのは難しいでしょう。そのため、木ネジを使用している家具に関してはできるだけ解体せずに運ぶのがセオリーです。そのほか、接着剤を使用している家具や釘打ちしている家具は解体が難しい家具になので、注意が必要です。
引越し時に家具を解体する方法

引越し時に家具を解体する方法は、「自分で解体する」か「引越し業者に依頼する」の2パターンがあります。基本的には引越し業者に依頼する方が安心です。自分で解体してしまうと、元に戻せなかったり、戻せたとしても強度が弱かったりといったトラブルが発生し、結局買い換えるといった事態に陥りやすい傾向があるからです。ただし、どちらもメリット・デメリットがあるので、それぞれの特徴を把握したうえで、最適な方法を選びましょう。
自分で解体する
自分で家具を解体する場合は、組み立て時と逆のことをすれば大丈夫です。その際、設計図や取扱説明書があるとなお良いでしょう。自分で解体する際のメリット・デメリットは下記のとおりです。
メリット | デメリット |
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自分で解体する場合は、費用がかからないというメリットがありますが、それ以上にデメリットの方が大きくなります。たとえばタンスなどの大型家具を解体する場合は、一つひとつのパーツが重いため、1人での解体は難しいでしょう。数人で行ったとしても、慣れない作業に時間や労力がかかることはもちろん、パーツを落としてしまいケガする可能性も出てきます。
また、解体のための養生や工具などを用意する必要があります。自宅にない場合は、手出しで用意することになるので、唯一のメリットである「費用がかからない」点がなくなってしまうかもしれません。
引越し業者に解体を依頼する
引越し業者に解体を依頼するメリット・デメリットには下記のようなものがあります。
メリット | デメリット |
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引越し業者に引越しを依頼する際は、解体・運搬・組み立ても料金内で対応してくれることがほとんどです。そのうえで時間と労力も省略できるので、引越し業者に引越しを依頼する場合に、自分で解体する意義はほとんどないとも言えます。
ただし、引越し業者に依頼する場合は、引越し当日に解体するための時間が必要になるので、引越し自体の時間が少し長めになります。また、引越し業者でも解体できない家具がある点には注意が必要です。引越し当日に発覚すると、対処に困るので、見積もり段階で引越し業者に相談しておくようにしましょう。
引越し時に家具を解体できない場合の対処法

木ネジや接着剤など、家具に使用されている資材によっては解体できない場合もあります。こうした家具は無理に解体すると組み立てが困難になるなど、トラブルの元となるため引越し業者でもお断りされる可能性がある点には注意が必要です。それでは引越し時に解体できない家具はどうすれば良いのかと言うと、下記の2つの対処法が考えられます。
- 解体しないで運ぶ
- 処分する
自力で運ぶことが困難に感じても、引越し業者であれば運べることがあります。そうした場合は、解体せずに運んでもらうようにしましょう。解体せずに運べるかどうかは、見積もり時に営業の人に相談することで判断できるでしょう。解体もできない、引越し業者でも運べない場合は、最終手段である「処分する」ことも考えましょう。
解体しないで運ぶ
引越し業者は荷物の搬出入の専門家です。そのため、自分では解体しないと運び出せないと思っている家具でも、少しずつ角度を変えて動かすことで狭い廊下や玄関などを通過させることができる場合もあります。ただし、木ネジや接着剤などを利用している家具の場合は、長時間トラックに揺られて強度が落ちてしまう懸念があります。そのため、若干のゆがみが発生する可能性があることは覚えておきましょう。
搬出入ができるかどうかは、見積もり時に営業担当者に相談して判断してください。もし解体しない状態では運べないとなると、処分するしか最終手段はなくなります。
処分する
解体できないうえにそのままの状態では運ぶことも無理な家具は、下記のような方法で処分してしまうしかありません。
- 市区町村のごみ収集サービスを利用する
- 不用品回収業者に依頼する
- 引越し業者に回収してもらう
- 一般ごみとして処分する
一般的に粗大ごみを処分する場合、リサイクルやフリマアプリの利用、友人に譲るといった方法も考えられますが、解体もできないうえに運び出せないとなるとこれらの方法は現実的ではなくなります。最終手段ではありますが、壊して処分することになると覚えておきましょう。各処分方法の詳細はこちらの記事で解説しているので、あわせてご確認ください。
引越し時の家具解体に関する注意点

家具を解体することになった場合は、下記の点に注意しておきましょう。
- 組み立て家具はすべて分解できるわけではない
- 解体前に写真を撮影する
- IKEAの家具は断られる場合がある
これまでの説明でも触れてきましたが、すべての家具が解体できるわけではありません。無理矢理にでも解体してしまうと今度は組み立てられずに困る可能性が高いので、解体せずに運び出せる方法を模索しましょう。特にIKEA製の家具は解体することを前提に作られておらず、トラブルが起きやすいため、引越し業者から解体を断られる場合があります。
解体できる家具の場合は、事前に写真をとっておくと、解体・組み立て後におこりうるトラブルに対処しやすくなるのでおすすめです。
組み立て家具はすべて分解できるわけではない
前述していますが、組み立て家具のなかでも分解できるものとできないものがあります。分解できるか否かの目安としては、下記の部品が使われているかどうかで判断できます。
【分解できない家具に使用されている部品や材料、手法】
- 木製部品
- 接着剤
- 釘打ち
のちのち引越しを予定している場合は、こうした点も踏まえて家具を購入することをおすすめします。また、すでに購入している家具の場合は、解体前にこうした部品や材料、手法が使われていないかどうかを確認したうえで、どう対処すべきかを決めるようにしましょう。
解体前に写真を撮影する
引越し業者に依頼する場合も、自分で解体する場合も、解体前に家具の写真を撮っておくことをおすすめします。引越し業者に依頼した場合は、もし解体前になかった傷が輸送や組み立て時についたとしたら、写真を残しておくことでその証明ができます。「あった」「なかった」の水掛け論争への発展を防ぎ、トラブルを迅速に処理できるでしょう。
自分で解体する場合は、自分で組み立てする必要が出てきます。その際、解体前の写真がある方がスムーズに組み立てられます。できれば各工程や部品を写真に収めておくと、組み立て作業をより楽に進められるでしょう。
IKEAの家具は断られる場合がある
北欧生まれで日本でも人気の高いIKEAの家具は、その多くに「釘打ち」が使用されています。そのため、解体後に再度組み立てなおしができる構造になっていません。また、IKEAでは家具の解体について下記のように言及しています。
引用元:IKEA
こうした背景もあり、IKEAの家具解体を引き受けてしまうことでトラブルやクレームに繋がってしまう可能性が高いため、IKEA製品の家具解体は引越し業者からお断りされる場合があることを留意しておきましょう。
家具の解体・組み立てをおこなっている引越し業者5選

家具の解体・組み立てに対応している引越し業者は下記のとおりです。
引越し業者 | 対応エリア | 解体にかかる費用 | 支払い方法 |
---|---|---|---|
アート引越センター | 全国・海外 | 無料(一部有料) | 現金、クレジットカード、 二次元コード |
日本通運 | 全国 | 有料 | 現金、クレジットカード、 QRコード決済 |
サカイ引越センター | 全国・海外 | 無料 | 現金、クレジットカード、 銀行振込 |
アップル引越センター | 北海道、東北、関東、東海、 関西、中国、九州・沖縄 |
無料(一部有料) | 現金 |
ヤマトホームコンビニエンス | 全国 | 有料 | 現金、クレジットカード |
無料で対応してくれる場合がありますが、家具の種類やプランによっては有料や追加料金が発生する場合もあります。ヤマトホームコンビニエンスにおいては、すべての家具やプランにおいて解体・組み立ては有料での対応になります。
アート引越センター

出典元:アート引越センター
アート引越センターは1977年に創業した老舗の引越し業者です。プランが豊富なことでも有名なアート引越しセンターですが、家具の解体・組み立てにも対応しています。基本的にはプラン内での対応になりますが、下記のような家具の場合は有料での対応になるので注意が必要です。
【有料での対応となる家具】
- システム家具
- 特注な工具が必要な家具
- 海外製の家具
オプションになりますが家具の地震対策にも対応しているので、引越しによる家具の解体を機に、地震対策を行うのもおすすめです。
■基本情報
家具の解体費用 | 無料(一部有料) | 拠点数 | 183 |
---|---|---|---|
見積もり方法 | 公式サイト、電話、オンライン見積もり、LINE | 対応エリア | 全国・海外 |
オプションサービス | ○ | 支払い方法 | 現金、クレジットカード、二次元コード |
本店所在地 | 大阪府大阪市中央区城見1-2-27 クリスタルタワー16F |
電話番号 | 0120-0123-33 |
日本通運

出典元:日本通運
大手引越し業者の日本通運でも家具の解体・組み立てに対応しています。ただし、下記のプランやケースでは有料または追加料金が発生する点は留意しておきましょう。
【家具解体・組み立てが有料のプラン】
- 単身パックS・L
【追加料金が発生するケース】
- 分解するとネジ穴が潰れて組み立てが困難になるケース
- 組み立ての高低が複雑で手間と時間を要するケース
追加料金が発生するケースにおいては、場合によっては組み立て作業をお断りする場合もあるようなので、事前相談が必須となります。また日本通運では、オプションサービスとして不用品の引取にも対応しています。もし解体できずに運べない家具がある場合は、不用品の引取サービスを利用することも検討しましょう。
■基本情報
家具の解体費用 | 無料(一部有料) | 拠点数 | 188 |
---|---|---|---|
見積もり方法 | 公式サイト、電話、オンライン | 対応エリア | 全国 |
オプションサービス | ○ | 支払い方法 | 現金、クレジットカード、QRコード決済 |
本店所在地 | 東京都港区東新橋1丁目9番3号 | 電話番号 | 0120-154022 |
サカイ引越センター

出典元:サカイ引越しセンター
引越し業界大手のサカイ引越しセンターでも家具の解体・組み立てに対応しています。ただし、家具の種類や大きさなどによって分解・組み立てができないものに関しては、見積もり時に営業担当のスタッフからの説明があるようなので、どういう対応をとるべきかの相談をしてみましょう。
また、サカイ引越センターでは不用品の買取や処分代行も行っているので、家具の解体が難しく運べないといった場合にはこうしたサービスの利用も検討してみましょう。
■基本情報
家具の解体費用 | 無料 | 拠点数 | 非公開 |
---|---|---|---|
見積もり方法 | 公式サイト、電話、LINE | 対応エリア | 全国・海外 |
オプションサービス | ○ | 支払い方法 | 現金、クレジットカード、銀行振込 |
本店所在地 | 大阪府堺市堺区石津北町56番地 | 電話番号 | 0120-001141 |
アップル引越センター

出典元:アップル引越センター
創業16年と業界内では若めのアップル引越センターでも大型家具の解体、組み立てに無料で対応。ただし、下記のような家具は有料になるので事前に確認しておくと安心です。
【有料対応の家具一例】
- IKEAの家具
- 跳ね上げ式ベッド
またアップル引越センターでは無料のオプションサービスが充実していて、運搬中、作業中の事故による家財の破損に対して、家財1点につき最大で50万円まで保証してくれるので、万が一、家財が破損したとしても安心できる引越し業者です。
家具の解体費用 | 無料(一部有料) | 拠点数 | 24 |
---|---|---|---|
見積もり方法 | 公式サイト、電話、LINE、オンライン | 対応エリア | 北海道、東北、関東、東海、 関西、中国、九州・沖縄 |
オプションサービス | ○ | 支払い方法 | 現金 |
本店所在地 | 東京都中央区日本橋馬喰町1-5-6 9階 | 電話番号 | 0120-72-7979 |
ヤマトホームコンビニエンス

出典元:ヤマトホームコンビニエンス
ヤマトホームコンビニエンスはアート引越センター株式会社が運営するアートグループの連結子会社です。トラック1台ではなくコンテナボックス単位荷物を引き受けているうえに、ほかの人の荷物と一緒に運ぶ混載便で運搬してくれるのでリーズナブルな引越しを実現できます。
そんなヤマトホームコンビニエンスでも家具の解体・組み立てに対応していますが、これまで紹介した引越し業者と異なり有料での対応となる点には注意が必要です。
解体 | 組み立て |
---|---|
3,300円 |
4,950円 |
- ※価格はすべて税込表示
- ※2022年4月21日時点
またベッドは種類によって値段が異なります。詳細はオプションサービス一覧でご確認ください。
家具の解体費用 | 有料 | 拠点数 | 非公開 |
---|---|---|---|
見積もり方法 | 電話 | 対応エリア | 全国 |
オプションサービス | ○ | 支払い方法 | 現金、クレジットカード |
本店所在地 | 東京都中央区日本橋3丁目11番1号 HSBCビルディング6階 |
電話番号 | 0120-008008 |
まとめ

机や椅子、ラックなどの大型家具は搬出入が難しい場合が往々にしてあります。引越しのプロである引越し業者でも難しい家具が存在するので、そうした場合は家具を解体することも検討しましょう。
ただし、解体する家具の種類には注意しておかないと、組み立てた後に家具に不具合が出る場合もあります。特に自分で運ぶ場合は、解体できる家具かどうかを見極める必要があることを覚えておきましょう。引越し業者に依頼する場合は、見積もり時に営業担当者が解体できるかどうかを判断してくれるはずです。
しかし昨今はLINE見積もりやオンライン見積もりなど、現地に赴かない見積もり方法も増えています。画面上で見るのと実際に見るのでは、さまざまな違いが出てきます。その違いにより「運べる」「解体できる」といった誤判断をされることもありえるので、大型家具がある場合は必ず見積もり時に相談しておきましょう。