- 冷蔵庫の運搬は引越し業者や宅配業者に依頼する方法と自力で運ぶ方法があります
- 引越し前に冷蔵庫の中を空にして「水抜き」や「霜取り」などの準備が必要です
- 自力で運ぶ場合は事故や怪我に気をつけましょう
引越しの際には、まだ使えるアイテムはぜひとも新居に持っていきたいものです。使用頻度が高く高価な冷蔵庫はその筆頭でしょう。冷蔵庫の運搬と聞くとややハードルの高いイメージがありますが、いくつかの運搬方法があることを知れば自分に合った方法を選んで無理なく運べます。この記事では、冷蔵庫の運搬方法や運搬前日までに行うこと、運搬前のお手入れ方法、運搬時のポイント、そして設置時の注意点についてご紹介します。
冷蔵庫を運搬する3つの方法
冷蔵庫を運搬するためには、主に3つの方法があります。最も一般的な方法は引越し業者に依頼することで、業者によっては冷蔵庫だけを運んでもらうプランを利用できます。また、宅配業者に依頼する方法もありますが、業者ごとに条件が異なるため事前に確認しておきましょう。引越し・宅配業者に頼まずに自分で運ぶことも可能ですが、冷蔵庫の破損を防ぐため手伝ってくれる人を探したり、軽トラック、ロープや養生テープなどを用意したりする必要があります。
引越し業者に依頼する
冷蔵庫の運搬は引越し業者に任せられます。荷物が少ない引越しでは大方の荷物を自分で運ぶことがありますが、業者によっては冷蔵庫のような大型家電や家具だけを運ぶ引越しプランが設けられていることもあります。この引越しプランを利用することで、荷物全般を運んでもらうよりも料金を大幅に下げられるでしょう。
特定の荷物を運んでもらう際の方法やメリット・デメリットについてはこちらの記事で詳しくご紹介します。
宅配業者に依頼する
宅配業者も冷蔵庫の運搬が可能です。運送業の協同組合に依頼するか、宅配業者が各社で設けている運搬サービスを利用しましょう。
ただし、宅配業者に依頼する場合は、いくつかの注意点があります。まず、業者によってサイズ・重量に制限があったり事前の梱包作業が必要になったりするという点です。また、通常の宅配便とは料金が違うことにも注意が必要です。さらに、繁忙期にはほかの利用者との混載便になったり受け付けてくれなかったりする場合があります。可能であれば繁忙期以外のタイミングで利用するのがおすすめです。
自分で運ぶ
業者に依頼せずに自分で運ぶ方法もあります。レンタカーの軽トラックなどを利用して運べば費用をレンタル代とガソリン代のみにおさえられるため、比較的低コストで冷蔵庫を運搬できます。
ただし、小さな冷蔵庫でない限り一人で運搬するのは危険なので、協力者を募って複数人で運びましょう。また、冷蔵庫を横倒しにしたまま運ぶと故障や破損の危険があるため、縦に置いてロープなどで固定してから運びます。運搬経路や冷蔵庫の扉を養生テープなどで留めておくと、運搬中に傷がついたり破損したりする確率を下げられるでしょう。
自家用車で運ぶ
自家用車がある程度車高のある車であれば、単身用冷蔵庫などの運搬が可能な場合もあります。横置きは厳禁であるため、基本的には助手席に立ててロープなどでしっかり固定しましょう。ただし、助手席に置くことで、横の窓やサイドミラーの視界を塞ぐ場合は大変危険です。その場合は、後部座席の視界を遮らない位置に置いて運びましょう。但し、縦向きの状態で運ぶ必要がある為、自家用車で運ぶことのできる冷蔵庫のサイズは非常に小さなものに限られる点、留意しましょう。
軽トラックで運ぶ
レンタカーとして、もしくは知人から軽トラックを借りられるのであれば、ある程度大きなサイズの冷蔵庫であっても荷台に乗せて運搬可能です。ただし、普通車の座席と異なりトラックの荷台は高さがあるため、最低でももう一人、人手が必要になります。また、基本的に露天状態で運搬することになるため、故障につながる雨の日は使えないなど、天候に左右されるというデメリットもあります。
なお、積み込む際は荷台に直接乗せるのではなく、下に毛布のような柔らかいものを敷くと振動を和らげることができます。また、バックミラーの視界を塞がないためにも、隅に寄せて必ずロープなどで固く固定しましょう。
2トンショートトラックで運ぶ
2トンショートトラックを使えるのであれば、他の引越しの荷物をすべてまとめて運搬可能な場合もあります。2トントラックには主にショート、ロング、ワイドロングの3種類がありますが、比較的荷物の少ない単身引越しであれば、ショートトラックで十分でしょう。荷台が箱型のバンタイプのものを選ぶことによって、天候に左右される心配もなくなります。ただし、2トントラックを運転するには、準中型以上の免許が必要であり、いわゆる普通免許では運転できないため注意が必要です。なお、平成19年6月1日以前に「当時の普通免許」として取得された方は、その後更新の際に自動的に「8トン限定の中型免許」に切り替わっているため、2トンショートトラックであれば運転可能です。また、免許の条件等に記載の重量制限は最大積載量ではなく車両総重量であるため、5トン限定準中型免許であっても、装備などが多く、車両総重量が5トン以上になると運転できないことに注意が必要です。
運搬にかかる費用の相場
冷蔵庫の運搬方法によって、費用は大きく異なります。引越し全体の予算と相談しながら、何を重視するかによって運搬方法を選びましょう。
引越し業者に依頼した場合
他の荷物と一緒に、単身引越しサービス(引越し業者によって名称は異なります)を利用する場合は、その料金に準じるため、ここでは別途冷蔵庫の運搬だけを引越し業者に依頼する場合の費用についてご紹介します。費用は冷蔵庫の大きさや搬送先までの距離、作業員の数によって変動しますが、単身用のそれほど大きくない冷蔵庫であれば、距離による変動が大きくなります。一般的には約8,000~30,000円が相場です。
宅配業者に依頼した場合
サイズ・重量による制限はあるものの、単身用の冷蔵庫であれば問題なく依頼できます。実際の料金は見積りをもらってからですが、搬送先までの距離によって約17,000~20,000円が相場です。
自分で運ぶ場合
レンタカーを借りる場合は、レンタル時間を12時間以内と想定して、バンタイプなら約5,000円~13,000円、軽トラックなら約7,000円、2トンショートトラックなら約13,000円が相場です。また、レンタカーと自家用車どちらの場合も、走行距離に応じたガソリン代が必要です。さらに、誰かに運転してもらったり搬送を手伝ってもらったりする場合には、協力者の方への謝礼が必要なこともあります。
運搬前日までに行うこと
冷蔵庫を運ぶにあたり、前日までに行うべきことがあります。まず、冷蔵庫が重くなったり食材が腐ったりしないように、庫内の食材をあらかじめ空にしておきます。そのうえで、冷蔵庫内の霜や氷が運搬中に融けることを防ぐため、事前に電源を抜いて水を抜いておきましょう。
冷蔵庫の中を空にする
運搬当日までに冷蔵庫内が空になっている状態にします。庫内にものが入っていると重くなり、さらに中のものが動いて運びづらくなります。運搬中は冷却もできないため腐る恐れもあるでしょう。前日までになるべく食材を使いきれるよう計算して、残った場合はクーラーボックスに入れて運ぶかクール便を利用しましょう。場合によっては食材を処分することも考える必要があります。
引越し前日には電源を切る
運搬する前日までに冷蔵庫の電源を切っておきましょう。多くの場合、冷蔵庫内には霜が付いています。電源を切ると霜が融けて水になるため、運搬当日になってから電源を切ると冷蔵庫の運搬中に融けた水がこぼれて汚れや破損につながります。運搬当日の朝までに霜を融かしておいて、当日に庫内の水を捨てましょう。なお、水を捨てる際は、製氷機や給水タンクの水も一緒に捨てておきましょう。季節や状況によっては霜が融けるまで時間がかかるため、少し早めに電源を切っておくと安心です。
運搬前のお手入れ方法
冷蔵庫を運ぶ前には、まず庫内の氷や霜を取り除く必要があります。冷蔵庫の電源を切って融けた水を取り除き、冷蔵庫内を空にする際にはあわせて庫内の掃除も行いましょう。水を取り除くことで運搬中に水がこぼれる可能性をなくし、庫内を掃除すれば同じ冷蔵庫でも新居で気持ちよく使用を開始できます。
冷蔵庫の「水抜き」と「霜取り」のやり方
冷蔵庫内には氷や霜が多く付着しているため、これらを事前に取り払う「水抜き」の必要があります。
水抜きでは、まず「霜取り」を行います。運搬の前日までに冷蔵庫の電源を切って、庫内の温度を常温にします。これにより庫内の氷や霜が融けて水になり、水を蒸発皿に集められます。
霜取りにより水を蒸発皿に集めたら水抜きを行います。蒸発皿の場所は機種ごとに異なるため、説明書などで場所と水の抜き方を確認して蒸発皿内の水を捨てましょう。同時に製氷機や給水タンクに溜まる水も捨てておきます。水を捨てたら庫内に残った水気をふき取れば水抜き完了です。
冷蔵庫のお掃除術
冷蔵庫は運搬時に庫内を空にするため、あわせて掃除も行いましょう。製氷皿や仕切り板などのパーツをすべて外して、台所用の洗剤やエタノールなどで庫内とパーツを洗います。洗ってから水に溶いた重曹で拭くと臭いの防止も可能です。汚れやすい扉の表面やゴムパッキンは、ぬるま湯に溶いた重曹で拭くと汚れが落ちやすくなります。細かい場所はガーゼを巻いた割り箸で拭きましょう。ゴムは一度カビが生えるとなかなかきれいにできないため、普段からこまめに掃除しておくことをおすすめします。
冷蔵庫を運搬するときのポイント
冷蔵庫の運搬には注意が必要です。ドアが勝手に開いて破損や怪我をしないようにしっかり固定し、庫内のトレイも固定します。そのうえで、万が一の事故を防ぐためには冷蔵庫自体に緩衝材として毛布を巻くのが欠かせません。また、横に倒すと冷却機関の故障を招く恐れがあるため、なるべく縦向きのまま運ぶことも大切です。
ドアとトレイを固定する
冷蔵庫を運搬するときは、ドアと庫内のトレイを布テープでしっかりと固定します。特にドアの固定は必ず行いましょう。運搬中にドアが開くと、周りにぶつかって破損や怪我につながる恐れがあります。トレイは外して別個に運ぶこともできますが、荷物の増加や破損などのリスクを考慮すると冷蔵庫内で完全に固定させた方が安全です。
固定はなるべく前日のうちに行いましょう。運搬当日は慌ただしくなるため、落ち着いて作業できない可能性があります。
毛布などを巻いて破損を防ぐ
運搬するときには冷蔵庫に毛布などを巻きましょう。冷蔵庫は重く大きいうえに壊れやすいため、運搬中何かにぶつけて冷蔵庫や周りのものを破損させたり人が怪我したりする危険があります。冷蔵庫がぶつかったり落ちたりしても安全を守れるように、毛布のような柔らかく大きなもので冷蔵庫をくるみ保護する必要があります。
室内で運ぶ際には床にも布を敷いて、その上を引きずって運びましょう。冷蔵庫だけでなく床も傷つけずに済み、より安全な運搬が可能です。
運搬するときは横倒しにしない
冷蔵庫の運搬は横倒しにせず縦向きのまま行う必要があります。冷蔵庫を横に倒すとコンプレッサに入っている冷却オイルが冷却システム内に漏れて故障する恐れがあるためです。運搬中は原則縦向きに運んで、狭い通路の通行時や階段の昇降時などやむを得ない場合のみ斜めにします。トラックに載せている間も縦向きのままロープなどで固定しましょう。どうしても横向きで運ばなくてはならない場合は、冷蔵庫設置後に10時間ほど空けてから電源を入れるようにします。
荷台に固定して運ぶ
荷台に乗せる場合は、ロープで厳重に固定しましょう。冷蔵庫は重量があるため、転倒すると冷蔵庫そのもの故障だけでなく、他の荷物を傷つけるおそれがあり、万が一荷台から落下した場合は重大な事故にもつながります。ロープはビニロンロープやマニラロープと呼ばれる強度があって滑りにくい素材のものを使いましょう。また、冷蔵庫のような大型家電を固定するには、南京結びという結び方が便利です。運送業界では一般的な結び方ですが、慣れないと難しいため、解説動画などを参考に実践することをおすすめします。
冷蔵庫を設置するときの注意点
運搬後に冷蔵庫を設置する際は設置場所に気をつけましょう。冷蔵庫が傾いたり床が壊れたりしない安全な場所で、かつ冷却効率を上げられるような場所を選びます。運搬完了後は破損を防ぐために、機種ごとに一定時間を空けてから電源を入れます。電源を入れてからも庫内が冷えるまで時間がかかるため、食材を入れるまでには長時間待機する必要がある点に注意しましょう。
適した場所に設置する
冷蔵庫は設置する場所によって安全性や稼働効率が変わります。重くて高さもある冷蔵庫を安定して設置できるように、設置予定場所が丈夫で水平な床面であることを必ず確認しましょう。床の強度が低かったり傾いていたりすると冷蔵庫自体や家などの破損につながる恐れがあります。
周りのスペースも必要です。冷蔵庫がぎりぎり収まる場所ではなく、側面や上面に少し隙間を空けるように設置します。冷蔵庫は外面のいずれかに「放熱板」というパーツが取り付けられてあり、放熱板が壁に接していると庫内の放熱効率が落ちて冷えづらくなります。同様に冷却効率を上げるため、直射日光や熱気が少ない場所を選びましょう。
運搬完了後すぐに電源を入れない
機種にもよりますが、冷蔵庫を設置したら電源を入れる前にしばらく時間を空ける必要があります。運搬中に振動で冷却オイルが移動していることがあり、そのまま電源を入れることによる冷却機関の破損を防ぐためです。具体的な待ち時間は機種ごとに異なり、待ち時間が必要ない場合もあります。多くの日本メーカーでは短時間の待機で十分ですが、事前に使用している冷蔵庫の説明書を確認しましょう。
電源を入れた直後に食材を入れない
冷蔵庫の電源を入れたら、食材を庫内に入れるまでしばらく時間を空けます。常温になっている冷蔵庫内が十分に冷却されるまではある程度の時間がかかるため、すぐに食材を入れると庫内が冷えるまでに食材が痛みます。夏場は冬場以上に庫内冷却の時間がかかります。冷蔵庫を運搬するときはこの庫内冷却時間まで考慮して、余裕を持った食材の保冷体制を整えておきましょう。
冷蔵庫を処分したいときはどうすれば良い?
冷蔵庫は家電リサイクル法により粗大ごみとしての処分を禁じられているため、処分方法を慎重に検討する必要があります。引越し先に持って行けないからと、軽い気持ちで不法投棄すると犯罪になるため注意が必要です。また、処分の際には基本的に収集運搬料金とリサイクル料金の2種類の費用が発生します。収集運搬料金は処分方法によって異なりますが、リサイクル料金は単身用の冷蔵庫であれば3,740円となっていることが多いのですが、メーカーによって異なります。
※詳細は家電リサイクル受付センターなどに必要に応じ問合せするようにしましょう。
お店に処分を依頼する
冷蔵庫を購入した家電量販店に引き取り依頼すれば、家電リサイクル法により販売店には引き取りが義務付けられているため、確実に処分ができます。収集運搬料金は販売店によって異なりますが、約550~2,200円が相場です。リサイクル料金と収集運搬料金が必要になります。
リサイクルショップや不用品回収業者に依頼する
リサイクルショップや不用品回収業者であれば、電話やインターネットから申込むだけで比較的早く引き取ってもらえるため、時間に余裕がない場合はおすすめです。リサイクルショップの場合は、状態の良いものであれば買値が付いて、費用がかからないばかりか臨時収入になる可能性もあります。不用品回収業者の場合は、一般廃棄物処理業の許可が下りていない業者に依頼すると不法投棄となるため、業者選びは慎重に行いましょう。
知人に譲る
知人や別居している家族で欲しいという人がいるのであれば、譲るという方法もあります。譲るのであればリサイクル料金や収集運搬料金がかからず、相手にも喜んでもらえるため、気持ちよく処分ができます。
不用品の処分方法についてはこちらの記事で詳しくご紹介します。
まとめ
この記事では、冷蔵庫の運搬方法や各段階でのポイントなどを紹介しました。冷蔵庫の運搬は引越し業者や宅配業者に依頼する方法が一般的です。自分で運ぶ方法もありますが、安全面には細心の注意を払いましょう。
冷蔵庫は引越し先でも多用する生活必需品であり、同時にとても高価な製品です。不用意な運搬で壊すなどしないように、手順やポイントを意識して安全に確実に運びましょう。