目次
- 引越しで電化製品を運ぶには、引越し業者・買い替え・自分で運ぶの3とおりの方法があります
- 引越しで電化製品を梱包する前には、製品ごとにやるべきことがあります
- 引越し業者に電化製品を運んでもらう場合は、いくつかの注意点があります
- 引越し時に電化製品を買い替える場合は、配送のタイミングに注意しましょう
引越しを期に、電化製品を買い替える人も少なくありません。長年使っていたものを処分し、新生活にあわせて購入する人もいれば、引き続き使用していた電化製品のお世話になる人もいるでしょう。持っていくかどうか判断に悩む電化製品ですが、もし転居先でも使用する場合、梱包はどうしたらいいのでしょうか。
今回は、引越しにともなう電化製品の扱い方や引越しの前にしておくべきこと、梱包の方法について解説します。そのまま使い続けたい人も、新調を検討している人もぜひ参考にしてください。
引越し時の電化製品の扱い方
引越しするときの電化製品には、大きく3つの扱い方があります。新居に持っていこうと考えている人もいれば、引越しの際に処分してしまおうと考えている人もいるでしょう。以下に3つの方法を紹介しますが、それぞれのメリット・デメリットをしっかりと把握してどうするのか、最終的な判断をしてください。
引越し業者に依頼する
引越しで大型電化製品を運ぶのは、引越し業者に依頼するのが安全かつ確実です。ほかのものは自分で輸送し、大型のものだけを引越し業者に依頼することもできます。家電のみのプランを探すか、見積りの段階で担当者に相談しておく必要がありますが、引越し費用をおさえることができるでしょう。
大型家電製品は、自分で運べないわけではありませんが、難易度は高めです。間違った搬出・搬入方法をしてしまうと、家電製品が故障するだけではなく、ケガにつながるリスクもあるためです。大型家電は引越しのプロである引越し業者に任せた方が安心でしょう。
ただし、業者に依頼する以上は費用が発生します。料金は引越し会社によって異なるほか、電化製品の大きさによっても変わってきます。事前に見積りを依頼するなど、費用と手間がかかる点に注意が必要です。
今の電化製品を処分し買い替える
旧居で使用していた家電製品が古く買い替え時を迎えている、どうしても欲しい電化製品がある場合は、処分して買い替えるのもひとつの方法です。電化製品も新しくなり、新たな気持ちで新生活を迎えられるでしょう。また、引越しの荷物も少なくなるため、一石二鳥です。
引越し業者のなかには、引越しと同時に家具家電を購入できるサービスを行っているところもあります。購入すると引越し当日に新品の電化製品を配送・設置してもらえるため、引越しと電化製品の設置工事が同日で終わります。もちろん、家電量販店でも引越し当日にあわせて配送・設置してもらうことはできますが、別途自分で手配しなければなりません。まとめ買いをして、新品の電化製品で新生活を迎えるのもありでしょう。
デメリットとしては、当然ですが新しい電化製品を購入する費用が発生します。加えて、電化製品を廃棄するには処分費用がかかります。自治体の粗大ごみにしても、家電量販店で引き取ってもらうにしても、いくらかの費用が発生することを覚えておきましょう。
自分で運ぶ
あまりおすすめできる方法ではありませんが、電化製品を自分で運ぶこともできます。家電製品の故障や運搬中の事故・ケガのリスクはあるものの、費用がかからないため経済的な負担を減らしたい場合にこの方法を取る人もいるようです。
前述の「引越し業者に依頼する」でも解説したとおり、自分で運ぶことに対するデメリットをしっかり把握しておかなければなりません。もし、次の条件がそろっているのであれば、自分で運んでも良いかもしれません。ただし100%リスク回避できているわけではないため、自分で運ぶ際には安全面には十分に配慮し、電化製品が壊れても自己責任であることを理解できる場合のみです。
- 短距離の引越しである
- 電化製品が大きくない
- 車がある、使える
- 運搬を手伝ってくれる人員がいる
【種類別】電化製品を梱包する前にやっておくべきこと
電化製品を梱包する際に、やっておくべきことがあります。電化製品の種類によって梱包方法が異なり、ダンボールに詰め込むものもあります。業者に依頼するにしても自分で運ぶにしても、やることは同じです。やるべきことをきちんとやり、引越しの最中に故障や破損に繋がらないようにしましょう。
冷蔵庫
冷蔵庫は、引越し当日までに中身を空にし、かつ「霜取り」「水抜き」を完了しなければなりません。
冷蔵庫の重量を少しでも軽くするために、庫内を空にしておきましょう。そのままにしていても運べないこともないですが、中身が腐ってしまう可能性があります。重量もかなりのものなので、庫内のものを捨てる、消費するなどして空にしましょう。輸送中は冷蔵・冷凍の保存ができないため、箱やクーラーボックスに入れて移動するのは現実的ではありません。庫内を空にするまでを前日までに完了させましょう。
空になった後は電源を切り、冷蔵庫内の霜を溶かしてしまいます。当日になったら庫内に溜った水を捨てましょう。引越し当日に電源を切ると、運搬中に霜が溶けた水がこぼれ、汚れや破損に繋がります。溶けて貯まった水だけではなく、製氷機の氷や給水機の水を捨てておきましょう。冬場は霜が溶けるまで時間がかかるため、早めに電源を切っておくと良いかもしれません。
洗濯機
洗濯機の場合、冷蔵庫と同じく水抜きをする必要があります。ただし水抜きの方法が違う点、給水側と排水側の2ヶ所の水抜きが必要な点の2点に注意しなければなりません。水抜きをしていないと、冷蔵庫と同様、汚れや破損に繋がる危険性があります。
給水側、排水側の水抜きの方法は、それぞれ次のとおりです。
【給水側の水抜きの方法】
- 水道の蛇口を閉める
- 電源を入れ「ドライモード」を選択しスタートボタンを押す
- 10秒ほどで電源を切って給水ホースを取り外す
【排水側の水抜きの方法】
- 電源を入れて「脱水モード」を選択する
- 一番短い時間で運転する
- 完了後に洗濯機を少し傾けて残っている水を抜く
- 排水ホースを取り外す
なお、どちらの水抜きでもホースを外す際に水がこぼれてくる可能性があります。床や洗濯機が濡れないように、タオルや洗面器を用意して受けられるようにしましょう。時間にして10~20分で水抜きは完了します。
どうしても時間が取れない場合は業者に依頼して水抜きしてもらうこともできます。ただし、引越し業者によってはオプション扱いになり、料金が発生する場合もあるため注意が必要です。
テレビ
テレビを引越しさせる前にやることで重要なのは、配線を整理することです。テレビの裏側には複数のケーブルが繋がっており、配線も複雑です。荷解きの際にテレビにどの線を、どこに接続するのかを覚えていなければ、復旧までに時間がかかってしまいます。
テレビは配線を抜いてしまう前に、写真を撮って残しておきましょう。レコーダーやゲームと接続している場合はそのケーブルもすべてです。周辺機器を含めて写真に残しておけば、新居でも旧居と同じ配置で設置できるでしょう。また、ケーブルと接続していた端子に養生テープを貼ってナンバリングしておくと、似たようなケーブルでも迷うことなく接続できます。
また、テレビのリモコンやケーブルはひとまとめにして梱包しましょう。付属品が多いため、失くしてしまうとテレビが使えなくなってしまいます。まとめられるものは袋に入れたり、ビニール紐で縛ったりしておくといいかもしれません。B-CASカードはテレビに挿入したままでも問題ないものの、外れるリスクを軽減するため、マスキングテープで固定するか付属品と一緒にしまっておきましょう。
エアコン
エアコンは自分の手で取り外すのが難しく、引越し業者や専門業者に依頼して取り外してもらいましょう。物件によって配管の位置が異なるうえ、機種によって本体と室外機の外し方が違います。安易に自分でやろうとせず、プロに依頼することをおすすめします。
運搬自体は自分でもできるため、取り外してもらいたいだけの場合は専門業者という選択も可能です。専門業者のなかには配送サービスをしている業者もありますが、別途料金が必要になります。自家用車を持っていたり、軽トラックなどの輸送に適した車をレンタルしていたりする場合は、車まで運んでもらって新居まで運びましょう。ただし、取り付けも専門知識や技術が必要になるため、取り付けも同様に専門業者に依頼するのがよいでしょう。
ただ自分で運搬する際は必ず複数人で行いましょう。それでも運搬時に破損・故障となるリスクがある点は注意が必要です。
もし取り外しから輸送、取り付けまでワンストップで依頼したい場合は専門業者ではなく引越し業者に依頼しましょう。引越し業者に依頼する場合は原則オプション追加をしなければならないため、費用がどの程度かかるのかは事前に確認することをおすすめします。
パソコン
パソコンは、精密機器に該当するため、取り扱いに十分な注意が必要です。パソコンの場合は外側が無傷でも、輸送中の振動や衝撃で内部のデータが消えてしまう可能性があるためです。大切なデータは外付けHDDなどにバックアップを取り、保管しておきましょう。無料のオンラインストレージに保管することもできるため、そちらを利用しても構いません。
よくある勘違いとして、引越し業者は「運送者貨物賠償責任保険」に加入しており、破損しても補償してくれると思っている人がいます。事実、補償はしてもらえるのですが、対象はあくまで外側の破損だけであり内部データの破損は対象外です。仮に引越しによるトラブルであっても対応はできないので、必ずバックアップを取りましょう。
梱包には、購入時の箱が残っていればそれに、ない場合は緩衝材を厚めに入れたダンボールを使用してください。液晶画面が割れないように、本体そのものを緩衝材で包んでおくことも大切です。また、上下逆転しないように、梱包した箱の上部には赤の油性ペンで「天地無用」「上部」などと書いておきましょう。
電化製品の梱包方法
ひと口に電化製品と言っても、上記で紹介した大型のものもあれば、小型のものもあります。大型の場合は引越し業者が梱包してくれるものが多いものの、小型の電化製品は自分で梱包しなければならないことがほとんどです。業者によって取り決めが異なるため、事前に確認しておくと荷造りで迷わずに済みます。
ドライヤーやトースターといった、ダンボールに入るサイズの電化製品は、原則自分で梱包するする必要があります。梱包する際は緩衝材で包んでから箱に入れる、さらにダンボールのなかで動かないように緩衝材を隙間に詰めるなどの対処をしなければなりません。電化製品は些細なきっかけで破損する可能性があります。厳重に梱包しましょう。
ダンボールの枚数に余裕を設けて、電化製品ひとつにつき1枚のダンボールを使用するのがおすすめです。破損や故障のリスクが大幅に低くなります。ダンボールに入りきらないが引越し業者では梱包してもらえない電化製品は、緩衝材や解体したダンボールを巻いておくだけでも故障のリスクを低減できるでしょう。大きさに応じて適切な梱包をするようにしてください。
電化製品の運搬を引越し業者に頼む際の注意点
電化製品を運搬してもらう際に注意したいポイントは、以下の2つです。
- 引越し先に搬入できるか事前に確認しておく
- 電化製品の積み方・運び方に注意する
いずれも電化製品を破損させないために重要なことです。搬出・搬入で事故が起きたり、けが人が出ないようにしたりするために注意しておきましょう。
引越し先に搬入できるか事前に確認しておく
とくに大型の電化製品を搬出・搬入する際に、経路の道幅やエレベーターの高さは測っておいた方がいいでしょう。物件によってはファミリータイプの冷蔵庫が、高さや通路の幅の問題で搬出・搬入できない場合もあります。クレーンや高所作業車を使用して窓から運搬することができるものの、別途料金がかかるため事前に確認してから相談するようにしましょう。
狭い通路などを無理やり通そうとすると、電化製品を破損させたり、壁に傷を残してしまったりします。このような事態を避けるために、旧居・新居ともに通路の大きさや幅、高さを図り、同時に運搬する家電製品のサイズも計測しておきましょう。とくに新居への搬入に関しては、十分な注意が必要です。
電化製品の積み方・運び方に注意する
電化製品の入ったダンボールや電化製品そのものの運び方や積み方にも、注意が必要です。電化製品は少しの衝撃で壊れてしまうこともあるデリケートなものであるため、積み方や運び方には細心の注意を払わなければなりません。
とくに注意したいのが冷蔵庫や洗濯機です。自力で運搬する場合は必ずダンボールを巻くなどして衝撃が吸収できるようにし、立てたまま運んでください。寝かせてしまうとなかに残った水の影響で破損したり、へこみの原因になったりすることもあります。積む際も横向きにせず、必ず立てたままにしましょう。
テレビやパソコンのモニターといった液晶画面が入っているダンボールは、上下を間違えずに運んでください。積む際には上にものを載せないようにし、液晶割れが起こらないようにしておくことが重要です。すべての電化製品に共通しますが、運送中に傾いたり動いたりしないような工夫もしておきましょう。
引越し時、電化製品を買い替えた際の費用相場
引越しと同時に電化製品を買い替えた場合、費用相場は以下のようになります。何を購入するかにもよりますが、電化製品は日用品よりも購入額が高いため、事前の予算建ては必須です。
とくに大型の電化製品は高額です。引越しを期に買い替えを検討している場合は、以下の表を参考にしてください。
電化製品名 | 費用相場 |
---|---|
テレビ(単身向け) | 42,800円 |
テレビ(家族向け) | 201,900円 |
パソコン(デスクトップ) | 153,800円 |
冷蔵庫(単身用2ドア) | 43,500円 |
冷蔵庫(家族用6ドア) | 206,100円 |
洗濯機(タテ型・単身用) | 39,500円 |
洗濯機(タテ型・家族用) | 99,800円 |
洗濯機(乾燥機付き) | 171,100円 |
エアコン(6畳用) | 73,200円 |
エアコン(8畳用) | 102,300円 |
エアコン(10畳以上) | 111,500円 |
そのほかの電化製品については下記記事でまとめています。参考にして予算組みをしましょう。
忘れてはならないのが旧居で使っていた電化製品の処分です。小型の電化製品であれば燃えないゴミとして処分できる自治体もありますが、大型家電の場合は粗大ゴミ、もしくは家電量販店で処分してもらうの、どちらかの手段を取ることになります。いずれの場合もいくらかの処分費用が必要です。詳しくは処分する自治体か家電量販店に問い合わせてみましょう。
引越し時、電化製品を買い替えるタイミング
引越しと同時に電化製品を買い替えるタイミングには2つのパターンがあります。
- 事前に購入し、配送する
- 引越し後に購入する
それぞれ購入したい電化製品の特長が異なります。下記の説明を参考に、どのタイミングで購入するのかを検討しましょう。
事前に購入し、配送する
結婚で家族が増える、生活環境が大きく変わるなど、旧居で使用していた電化製品では不十分かオーバースペックな場合の方法です。代表的なものは冷蔵庫や洗濯機、テレビといった同居人数が変わると必要な容量やサイズが変わる電化製品です。
また、引越しによって部屋の大きさが変化する場合はエアコンをはじめとする空調機器も購入しておくと良いでしょう。これらの電化製品は引越し後もすぐに使用するものばかりであるため、引越し前に購入し、入居と同時に届くようにしておくと便利です。とくに、はじめて一人暮らしをする場合は、家電量販店で売られている「新生活応援セット」でまとめ買いすることもできます。価格も少し安くなることが多いので、検討の余地はあるでしょう。
引越し後に購入する
上記の電化製品とは別に、同居人の人数や部屋の大きさには関係しない、すぐには必要のないものは引越し後でも良いでしょう。トースターやアイロンがこれに該当します。
ただ、引越し後に購入することを決めている電化製品は、引越し前に処分してしまいましょう。引越し料金をおさえられるうえ、荷物も少なくなります。引越し後に購入することで、時間にゆとりをもって選ぶことができるのもポイントです。
不要な電化製品の処分方法
不要な電化製品を処分する方法は、いくつかあります。以下に代表的な処分方法をまとめました。
- 粗大ごみとして自治体に回収してもらう
- 不用品回収業者に回収してもらう
- 引越し業者に回収してもらう
- 家電量販店で引き取ってもらう
- 知り合いに譲る
- リサイクルショップに売る
- フリマアプリやオークションサイトで売る
- 解体して一般ごみとして処分する
ゴミとして処分してしまうこともできますし、使いたい人に譲ったり売ったりもできます。
ただし、以下の品目を処分する場合には、「家電リサイクル法」に基づく処分方法に従う必要があります。
- エアコン
- テレビ
- 洗濯機
- 衣類乾燥機
- 冷蔵庫・冷凍庫
新たに購入する場合も処分だけ依頼する場合も、購入した家電量販店、もしくは新しい家電製品を購入するお店で処分してもらうようにしましょう。処分の際にはリサイクル料金が必要になるため、注意が必要です。
まとめ
電化製品は非常にデリケートなものです。引越しの際には細心の注意を払い、壊れないように運搬しましょう。
引越し後に新しいものを購入するのか、それとも旧居から引き続いて使用するかは人それぞれです。
もし新たに購入し直す場合は古い電化製品を処分してから引越しを、引き続き使う場合は本記事の解説をもとに梱包して壊れないように引越ししましょう。