目次
- 引越しで使用するダンボールは単身世帯であれば10〜15枚程度ですが余裕を持って準備しておく必要があります
- 荷造りの際はダンボールに詰める荷物ごとに適切な梱包方法が異なります
- 快適な引越しを実現するためには荷造りのコツを押さえておくことが大切です
引越し準備で多くの時間を要する工程に荷造りがあります。多くの荷物を少しでも効率良く詰めていくには、さまざまな準備や工夫・コツが必要です。適切な詰め方をしないと引越しの能率が落ちるだけでなく、荷物を破損する恐れもあるため荷物の量と種類を考えて最適な詰め方を考えましょう。この記事では、引越しにおけるダンボールへの荷物の詰め方のコツや注意点をご紹介します。
ダンボールへ荷物を詰める前に
引越しで必要な梱包資材といえば?そう聞かれたときに、ほとんどの方が「ダンボール」と回答するでしょう。引っ越すことが決まったら、まずダンボールを調達しなければと思う方も多いと思います。しかし、引越しにおいてダンボールを何枚程度用意すれば良いのでしょうか?ここでは引越しで荷物を詰める前の、ダンボールの必要枚数について解説します。
ダンボールの平均使用枚数
日本人の引越しにおけるダンボールの平均使用枚数は30枚程度と言われています。ただし、世帯人数や荷物量によって必要枚数は異なります。例えば、一般的に単身世帯であれば10~15枚程度のダンボールが必要とされていますが、荷物量が多ければこの例に該当しないケースも多々あります。当日になって「ダンボールが足りない」と慌てる事態を防ぐためには、余裕を持ってダンボールを用意しておいたり、事前にプロである引越し業者に必要数な目安を聞いておいたりといった工夫が必要です。
引越しに必要な段ボールの枚数や入手方法については下記の記事でご紹介します。
ダンボールの入手方法・場所
前述したとおり、引越し全体におけるダンボールの平均必要枚数は30枚程度です。それほど大量のダンボールをいったいどこで入手したら良いのか疑問に思う方も多いのではないでしょうか。ダンボールの入手方法はさまざまで、無料で入手できるケースと有料で入手しなければならないケースがあります。それぞれのケースについて見てみましょう。
無料で入手するケース
引越し業者に引越しを依頼すると、多くの事業者がダンボールを無料で提供してくれます。引越し業者や契約プランにより提供枚数に差がありますが、ある程度までの荷物量であればカバーできる範囲の枚数を確保できるでしょう。また、引越し業者からのダンボールでは足りない場合は、近所のスーパーやコンビニ、ドラッグストアなどで譲ってもらうこともできます。
有料で入手するケース
引越し業者に依頼せず自力で引っ越す場合は、ダンボールも自力で用意しなくてはなりません。その際は、インターネットの通販サイトやホームセンターで購入しましょう。通販サイトでもホームセンターでも、強度の高い新品のダンボールを販売しています。通販サイトであれば5~10枚といった単位で大量にダンボールを調達できます。数枚購入したい場合はホームセンターが便利です。
正しい「ダンボール箱」の作り方
ダンボールが用意できたら、荷物を詰める前に「ダンボール箱」を組み立てます。側面を立ち上げ底面をガムテープで閉じ、荷物を詰めて蓋を閉じますが、人によって閉じ方はバラバラです。なかにはガムテープで閉じるのが面倒で、四面を「クロス組」する方もいるでしょう。しかし、クロス組のダンボールは強度が弱く、引越しには不向きです。クロス組した面をガムテープで止めても、残念ながら強度は上がりません。多少手間がかかっても、ダンボールの底面・蓋は「一の字貼り」や「H貼り」で閉じることをおすすめします。
ダンボールへの詰め方の基本
ダンボールを入手し箱を組み立てたら、いよいよ荷物を詰めていきます。引越しにおける荷造りの手順は、ポイントを押さえてから実行しましょう。例えば事前に必要な道具を揃えたり、同じ箱に詰めるものをある程度統一したりすると、荷造り作業がスムーズになります。また、ダンボール箱の組み立てや荷物の破損防止についてもコツが存在します。ダンボールをしっかりと補強し、それぞれの箱が同じくらいの重量になるように詰めたり、できるだけ運搬時に荷物が箱の中で動かないよう、隙間を作らないようにしたりしましょう。
必要な道具をそろえる
荷造りを始める前に、必要な道具はあらかじめ手元にそろえておきましょう。
梱包資材
ダンボールだけでなくガムテ―プやカッターナイフ、緩衝材なども使用します。細いものをまとめるために紐もあると便利です。また、ビニール袋も欠かせません。洗剤や調味料など液体入りのものを安全に梱包したり、荷造りで出る多くのごみをまとめて処分したりするために利用できます。
なお、ガムテープにはクラフト(紙)テープと布テープの2種類があります。粘着性が高いのは布テープですが、どちらかと言うと引越しには剥がし跡が残りにくいクラフトテープの方が適しています。また、クラフトテープの方が布テープよりも安価なため、コスト面でも優れていると言えるでしょう。ちなみに、大型家具・家電の搬入などで多用する「養生テープ」は、粘着性が弱いためダンボールの組み立てには不向きです。
梱包資材以外
ドライバーやレンチなどの工具や、部屋・家具などをきれいにできる掃除用具、それらと一緒に使用する軍手やゴム手袋などが主な道具です。また、ダンボールに中身を記入するためのペンも用意しておきます。
箱ごとの重量をそろえる
ダンボール箱には大小さまざまなサイズがありますが、どの箱も同じくらいの重さになるように詰めましょう。大きな箱だからとあれこれ詰めてしまうと重くなりすぎて持ち運びづらくなります。また、箱自体が重量に耐えきれず破れたり底が抜けたりする危険もあります。
具体的には、大きな箱には軽いものをまとめて、逆に重いものは小さな箱に少しずつ詰めましょう。どの箱も一人で持ち運べる程度の重さにおさえるのがポイントです。重いものを入れた箱にスペースが余っていたら、服のような軽く柔らかいものを緩衝材代わりに使用できます。
部屋ごと・ジャンルごとでまとめる
ダンボールに詰めるものは場所や種類ごとでまとめましょう。部屋や引き出し、ジャンルなどをそろえて同じ箱に詰めれば、あまり動き回らずに梱包を進められます。新居に移動してからも、箱の中身と収納場所を判断しやすいためスムーズな搬入が可能です。旧居で梱包後にそのまま部屋に置いておけば、急に中のものが必要になってもすぐ取り出せるというメリットもあります。
詰め終わった箱には中身と一緒に収納場所も書いておくと、作業がよりスムーズに進められます。
詰めすぎ・空けすぎに注意する
各ダンボールには、ちょうど隙間がなくなる程度にものを詰めましょう。詰め込みすぎると箱が変形して運搬やトラックへの積載がしづらくなり、途中で中身が飛び出す可能性もあります。逆に中身に余裕がありすぎると、箱の強度や中身の安全性が低下します。何かにぶつけたり積み重ねたりしたときに箱が変形しやすくなり、また中身が動き回って破損する危険も出てきます。一つの箱に多く詰めすぎないよう留意しつつ、隙間が空いたら緩衝材で埋めるようにしましょう。
詰め方に特に注意が必要なもの
引越しの荷造りではさまざまなものを梱包します。なかには詰め方に注意が必要なものもあり、誤った詰め方をすると汚れや破損、ケガなどに繋がりかねません。大切な家財道具をきれいに保つために、また安全のために各道具に適した形で詰めましょう。以下では特に詰め方に気を付けるべき道具4つと、それぞれに合った詰め方を紹介します。
割れ物
食器やコップ、ワイングラス、調味料のビンなどの「割れ物」は、一つひとつ割れないように包んで梱包しましょう。
皿
1枚ずつ緩衝材や新聞紙などで包み、新聞紙やタオルなどを敷いた箱に立てて詰めます。重い皿が下に入るようにして、隙間を緩衝材で埋めましょう。コップは外側を紙で包んでから内側に折り込み、箱の中に伏せて詰めます。繊細な形状をしているワイングラスは、梱包にもコツが必要です。まずは新聞紙をグラスの脚部分に、ボウル部分と同じ幅になるように巻き付け、筒状にします。その後はもう1枚の新聞紙の上にグラスを横にして置き、転がしながら全体に巻き付けます。はみ出した部分は底を包んだり、グラスの縁に入れ込んだりしましょう。詰めるときはグラスの底を下にして、縦に詰めていきます。
食器の梱包について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
ビン
蓋をしっかりと閉めるかラップ・ビニールで口をふさぎ輪ゴムで留めます。ビンの横と下を紙で保護してから箱に詰めましょう。1本ずつビニール袋で包めばより安全です。ビンを入れている箱は中身がわかりやすいように蓋を開けたまま運びましょう。
包丁・ナイフ
包丁やナイフといった刃物類は、梱包方法に迷うアイテムの一つでしょう。きちんと梱包しないと、運搬時や荷物を取り出す際にケガをする恐れもあるため、正しい梱包方法を知っておきましょう。刃物を梱包する場合は、厚紙とダンボールを使いましょう。包丁などの刃物は梱包が甘いとケガの原因にもなるため、しっかりと梱包しましょう。手順は、厚紙や段ボールを半分に折って刃を挟むようにしてテープで留めます。抜けないように上下もしっかり留めましょう。また、刃物だとすぐにわかるように柄の部分は出しておきます。
衣類
衣類は普段から衣装ケースやタンスなどに収納されていることが多いため、基本的にはあまり梱包作業を行わずに収納ごと運搬できます。収納ごと運搬する場合は、運搬中に引き出しが開かないようにテープで留めておき、キャスター付きのものはキャスターを外すか固定しましょう。タンスが重い場合は引き出しごとに分けて運ぶため、汚れの防止用に緩衝材で上から覆います。
クローゼットにかけてある洋服は、しわにならないよう気を付けてたたみダンボールに詰めます。服は重量が軽いうえにかさばるため、大きな箱にまとめましょう。引越し業者によってはハンガーボックスを借りられるため、確認して積極的に活用すると便利です。
ハンガーボックスについてはこちらの記事でご紹介します。
靴
靴は泥の汚れが付いていることがあるため、あらかじめ汚れを落としてから乾かしておきます。梱包の際には靴の中に紙を詰めて型崩れを防ぎ、なるべく靴箱に入れてからダンボールに詰めましょう。靴箱がない場合は店で購入するか、つま先とかかとを合わせて一足ずつ新聞紙でくるみダンボールに入れるという方法もあります。
ダンボールには無理に詰め込み過ぎず、隙間を紙やタオルなどで埋めながら余裕をもって梱包しましょう。縦向きに詰めていくと無駄な空間が減り、収納数を増やしつつ緩衝材を節約できます。
書籍類
書籍は数が増えると非常に重くなるため、底面を補強した小さめのダンボールに詰めます。箱の底に大きな本から平置きしていき、箱の中で本が動いて傷つかないように隙間を緩衝材やタオルなどで埋めましょう。引越し当日に雨が降ったときのために、箱の中の上下にビニール袋を敷いておくと防水もできます。
文庫本や漫画の単行本など同じ大きさの本を多数持っている場合、ホームセンターや通販などで手に入るファスナー付きの収納ケースを使用できます。ダンボールを使わないため防水性が高く、ファスナーで容易に閉じられるので便利です。
CD・DVD類
CD・DVD類も本と同じく、小さめのダンボールに詰めます。空いてしまった隙間には新聞紙のような緩衝材を詰めます。なお、CDやDVDは立てて入れると上からの力に強くなります。詰めすぎると重さでダンボール箱自体が壊れる可能性もあるため、くれぐれも詰め過ぎないことが大切です。
パソコン
パソコンは運搬中の衝撃に不安のあるアイテムのため、一般的に引越し業者が専門対応してくれます。自力で梱包する場合は、購入時の外箱や緩衝材があればそれらを使用しましょう。ディスプレイの小さいノートパソコンなら衝撃から保護できる専用のバッグやケースに入れて運びます。デスクトップパソコンの場合は付属品をすべて外して本体を緩衝材で包み、ダンボールに入れます。さらに、付属品も緩衝材で包んでダンボール内の隙間にクッション代わりに入れ、固定します。なお、どちらのタイプであってもパソコン内部のデータ消失が不安なときは、HDやクラウドストレージにバックアップを取っておきましょう。
大型家具・家電
引越し業者の多くは、ベッドや机などの大型家具や、冷蔵庫・洗濯機といった大型家電の梱包に対応したプランを用意しています。引越し業者に大型家具・家電の梱包をお願いすれば、分解が必要なものは行ってくれたり、運搬時に破損しないようコーナー部分を保護してくれたりします。大型家具・家電は自力で運ぶことも可能ですが、設置が難しかったり、壁や床を傷つけたりするといった危険性もあるため、引越し業者にお任せした方が無難です。引越し業者の用意しているプランのなかには家具・家電専用のものもありますので、引越し料金を極力おさえたい方はそのようなプランを検討すると良いでしょう。
ダンボール詰めを効率化するためのコツ
引越し作業には、荷造り以外にもさまざまな工程が発生します。それぞれの工程を効率良く進めて多くの工程を踏まなければならない引越しでは、それぞれを効率良く進めて所要時間や手間をできるだけ少なくしましょう。荷造り工程では作業の多くがダンボールへの梱包のため、さまざまな工夫で梱包を効率化させられれば迅速な荷造りが可能となります。作業を始める前に、梱包する順番や梱包後の一工夫を頭に入れておきましょう。
中身を記入する
ダンボールへの梱包が1箱終わったら、その都度箱の外側に中身の荷物と収納されていた場所を記入しておきましょう。そうしておくと、新居に搬入する際に各箱を置く部屋がわかりやすくなります。箱の上面と側面の2ヵ所に記入すると、トラック内に積まれた状態でも容易に探せて便利です。壊れやすいものや傾けられないものが入っている箱は、それらの注意事項も一緒に書いておきましょう。そのほか、引越し後すぐに使うものが入っている場合もメモしておくとより便利です。各注意事項は赤字で書いたりテープの色を分けたりすると目立ちやすくなります。
使わないものから梱包する
引越しの荷造りにおいては、直近で使わないものから優先的に梱包していきます。例えば、季節外れのものや普段取り出さない思い出の品物、来客用の食器などを最初に箱詰めしましょう。使わないものであれば早くから梱包しても生活に支障がないだけでなく、荷物の残量を減らすことで以降の段取りを組みやすくなります。逆に日用品のようなすぐに使うものは、早くから梱包すると引越しまでの生活に不便が生じます。すぐに梱包できるものと後回しにすべきものを最初に分別しておくと準備を能率的に進められるでしょう。
家の奥から梱包していく
荷造りの大まかな流れとして、家の奥にあるものから順に梱包を進めるようにします。玄関付近のものを先に梱包すると、家を出入りする際に荷物が邪魔になるためです。また、万が一災害が起きた際に家から逃げられなくなる危険もあるため、玄関付近はなるべくふさがないようにしましょう。逆に家の奥であれば通る機会が少ないため、早くから荷物を多数置いていてもさほど生活の邪魔になりません。奥にある部屋から順に荷物を梱包して、順次部屋の端にまとめていきましょう。
まとめ
この記事では、引越しの荷造りでの梱包の基本や注意点、効率良く作業を進めるコツについてご紹介しました。荷造りの際はアイテムごとに適切な梱包方法が異なるため、それぞれの違いを押さえておきましょう。正しいやり方で梱包しないと破損の原因にもなりかねません。なお、梱包作業がスムーズに進めば、空き時間にほかの手続きを進める余裕も生まれます。さらに、荷造りの際に一工夫を施しておけば、荷物の場所が把握しやすくなり、引越し当日の運搬作業も順調に進むでしょう。ぜひこの記事を参考に、旧居での生活を気持ちよく締めくくり、新居での生活を快適にスタートさせる荷造りを実現してください。